FC2ブログ

| PAGE-SELECT | NEXT

リアリズムを語る

1.『不死身の特攻兵』(鴻上尚史著 講談社現代新書)を読みました。  「精神主義の末路」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①こんなエピソードがあります。  東条英機首相が飛行学校を訪れ、学生にどうやって敵機を撃ち落とすかと質問し、学生たちは「高射砲でこう撃てば・・・」と答えたら、東条は、「違う。  精神で撃ち落とすんだ」と答えたのです。

②東条は首相であり、同時に陸軍大臣でした。  首相として、まして陸軍大臣としては、これは言うべき言葉ではありません。  敵機は「精神」では撃ち落とせないのです。

③けれど、「精神」で撃ち落とすと最高責任者が言ってしまったら、撃ち落とせない時、その理由は、高射砲の性能の限界でも、アメリカ機の高性能でもなく、「精神」になってしまいます。  高射砲が届かない高高度をB29が飛び、どうしても撃ち落とせない時、おまえの「精神」が弛んでいるからだと責める理由を与えてしまうのです。

④B29に届く高性能な高射砲ではなく、「精神」が求められたのです。  ここから、「命令した側」が特攻(の採用)までたどり着くのは、じつは早いと思います。  「精神」さえあれば、レーダー網を突破し、何百機というアメリカ機をかいくぐり、正規空母を撃沈できるのだ、という論法が出てくるのです。』

2.1.に続く「リーダーとしての器」の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①おそらく、「精神で撃ち落とす」と東条首相が答えた時、周りにいた多くの生徒も飛行学校関係者もハッとして感動したはずです。  そうだ、気持ちだ、気概だ、気迫だ、それがいちばん大切なことなのだと。

②けれど、「精神」を語るのは、リーダーとして一番安易な道です。  職場の上司も、学校の先生も、スポーツのコーチも、演劇の演出家も、ダメな人ほど、「心構え」しか語りません。  心構え、気迫、やる気はもちろん大切ですが、それしか語れないということは、リーダーとして中身がないのです。

③本当に優れたリーダーは、リアリズムを語ります。  現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策など、です。  今なにをなすべきか、何が必要かを、具体的に語れるのです。』

城西支部をスタートさせて数年後に、ある指導者と一緒にその門下生の試合を観ていました。  門下生は下段廻し蹴りで技有りを取られてしまいます。  すると、その指導者は「うちの生徒は根性がないから」と言いました。  隣で聞いていた私は、心の中で「あなたが(下段廻し蹴りに対する)スネ受けを教えてないだけでしょう」と思っていました。

自分自身の指導技術論(指導力の無さ)を、選手の根性論(根性がない)にすり替えてはいけませんね。  私も気をつけなくちゃ(笑)

来週末は、全日本ウェイト制大会と国際親善大会です。  

TOP↑

上水監督

1.4月29日の日経新聞の特集『師導 RIO 2016』では東海大学柔道部の上水研一郎監督(41)を取り上げていました。  リオデジャネイロ五輪男子7階級のうち3階級が上水監督の教え子です。  同日行われた全日本選手権で優勝候補の原沢選手や七戸選手を押しのけて優勝した王子谷剛志選手も上水監督の教え子の一人です。  テレビ中継では試合直後、王子谷選手にアドバイスしながら一緒に歩く姿が映っていました。  特集記事から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「日本人って不思議なもので、効率という言葉を『楽をする』と結びつけて嫌う。  でもそんなに悪い意味ではないんです」。  量より質、効率重視という上水監督の指導は、猛練習こそ栄光への一本道と信じられてきた柔道界では異端。  だからこそ「理解してもらうには結果を出すしかなかった」

②その手法は教えるというより導くもの。  練習の意図を丁寧に説明し、選手自身の頭で考えるように仕向ける。  「がむしゃらに練習する姿勢は大切だけれど、えてしてそれ自体が目的になってしまう。  思考を停止した状態で練習しても試合では何一つ発揮できないので」

③投げの直前までの形を繰り返す打ち込みの練習でも、「ただ相手に体を当てるだけならダンスだ。  意味のないことに時間をかけるな」と説く。  大切なのは回数ではなく、いかに集中力を持続させ、質の高い練習を積むか。

④だから2008年の監督就任時に断行したのは練習時間の短縮だった。  「そんなの甘すぎる」 「もっときつい練習が必要だ」との〝助言〟はかまびすかしかったが、団体戦で争う全日本学生優勝大会を就任1年目から14年まで史上最多の7連覇。  結果で黙らせた。

⑤代表3人の才能が伸びたのも「考えた練習の成果」。  (100キロ級代表)芳賀龍之介は大学1年の頃から全体練習を離れ、自分に必要なメニューを考えて実践した。  「普通は許されないけれど、先生は自分を信頼してくれた。  その代り、結果が出なければ自分で責任を取らないといけないと思いながら戦っていた」

⑥突出した才能に上水は多く口出ししない。  それは組み際の奇襲やオリジナル技を得意とする変則型の(60キロ級代表)高藤直寿にも同じ。  「ああいう天才は触ると芽を摘んでしまう。  課題を与えて見守るのみですよ。」  

⑦課題とは、「おまえ、こうされたら弱いよな。  どうする?」という問いかけだ。  日の丸を背負うほどの実力者なら、自分の形になればまず負けない。  問題はそうならなかったとき。  それぞれに、苦手とする状況を突きつける。  設問し、答えは自分で探させた。

⑧「自分が負けるイメージはなかなか想像できない。  でも危機管理として『最悪のケースになったときにどうするか』まで想定しておかないと百戦百勝はない」

⑨「伝統が全て駄目とは言わないが、それに固執すると流れが止まる。  思考を止めて、時代の流れを見ないで過去の成功例に執着するとその集団は腐ってくる」。  稽古中にも時折見せる福々しい笑顔。  リオで教え子たち(芳賀・高藤と90キロ級代表・ベイカー茉秋の3人)が残す結果は、その道が間違っていないことの証明ともなる。』


2.①4月5日のブログで書いた『Fight & Life』6月号が現在発売中です。  城西初の全日本チャンピオン・大西靖人が特集され表紙にも載っています。  取材に来た法政大学同好会OBの舟橋賢に貸した写真も掲載されています。  

②田村悦宏の第24回全日本大会優勝祝賀パーティーの写真もその一つです。  私を囲むように大西・黒澤浩樹・増田章・田村が写っています。  舟橋に過去の大西の写真を頼まれアルバムを見ていて偶然見つけました。

③今年の全日本が48回大会ですから24年前の写真です。  今の若い選手たちが生まれる前の出来事かも知れませんが、城西の全日本チャンピオン4人が並んでいる写真はレアなので引き延ばしてパネルにし、5か所の常設道場に張り出しますので見てください。

④下高井戸道場のパネルを見た鎌田翔平に「この時、皆さんはいくつくらいですか?」と質問されました。  24年前ですから私が38歳のときのことです。  上水監督が41歳ですから、それよりも若かったんですね。

やっぱり、これからは若い山辺・森の両師範代に期待しましょう(笑)

TOP↑

世界一の馬をつくる

『世界一の馬をつくる』(前田幸治著 飛鳥新書)を読みました。  前田さんが代表を務めるノースヒルズは2013年のキズナ、2014年のワンアンドオンリーで日本ダービーを連覇しています。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①私がよく言っているのは、「手づくりの高級腕時計をつくるように馬をつくる」ということだ。

②チームノースヒルズのスタッフはみな、単なるサラリーマンではない。  いつも真剣に馬に接し、どうすればいいか自分で考えて行動できるスペシャリストばかりだ。  そうして経験を積んできた熟練の職人たちが、丹精こめて馬を育てている。
 
③大量生産する必要はない。  丁寧に一頭一頭育てる。


2.①競馬で勝利を目指していくにあたり、所有馬を管理する調教師も、それに騎乗する騎手もまた重要な役割をになうスペシャリストである。  彼らはそれぞれ独自のポリシーと経験をもつプロフェッショナルだ。  

②だから私は、調教師に目指してほしいレースなどの希望を伝えることはあっても、調教方針などに口を出すことはない。 

③レース前、パドックで騎手と言葉を交わすときも、「グッドレースを」とだけ言うようにしている。  レース運びの指示などしない。

④これは馬主になったばかりの頃からのやり方だ。  プロに対し、あれこれ指図するのは失礼だし、それは私の領域ではない。  相手に任せるべきところだろう。


3.①特に、出産から離乳までを担当しているスタッフは、言ってみれば、競馬場から最も遠いところにいるわけだ。  しかし、目標はあくまでも「競馬で勝つこと」である。  (中略)

②そんな彼らの夢は・・・。  つくろうと思ってもできないからこそ、歴史的名馬をつくりたい、と口を揃える。  ディープインパクトのようにGⅠを何勝もして、海外のビッグレースを狙えるような馬を。


4.①(2013年日本ダービー直前)武豊騎手もまた、胸に大きな自信を秘め、「必ず勝つ」という闘志を、レースが近づくにつれ高めていたように思う。

②「一番人気で勝ちたい」と彼は話していた。  競馬の祭典で、誰もが勝つだろうと思っている本命馬の背に乗ることは、騎手として誇らしいことだからだ。

③そんな彼の希望を何とか後押ししようと、私もできるだけ応援するつもりで、キズナの単勝馬券を購入した』

TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT