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遊び心

 FIFAワールドカップ決勝トーナメント1回戦で日本が惜敗したベルギーが、ブラジルを破ってベスト4に進出しました。  普段サッカーをあまり見ない私も、4年に1度のワールドカップだけは「にわかサッカーファン」に変身です(笑)  ワールドカップやサッカーに関連した記事2つから抜粋し、番号を付けて紹介します。

1.『本田、8強へ「遊び心」と“頼れるおっさん”』(7月1日 ベルギー戦・前日のニュースサイト「スポーツ報知」より)

『①勝てば日本史上初の8強入りとなる大一番。  MF本田圭佑(32)は16強で終わった10年南ア大会の経験を踏まえ、「遊び心」を持つよう訴えた。  FIFAランク3位の強豪に全力を尽くすだけでなく、駆け引きなどサッカーを楽しむ必要性を説いた。  (中略)

②過去2回の決勝T1回戦は僅差で敗れた。  本田も8年前、パラグアイと0―0でPK戦に突入し、敗退した。  「一生懸命頑張ることだけではない。  楽しみながらというか、『遊び心』を持ちながら未知のチャレンジが次の試合では求められる」。  若い選手にも遊び心の必要性を伝えるという。

③サッカーを楽しむ。  強豪との勝負を楽しむ。  想定外のフィジカル、技術を体感することになる1対1の局面では、どう攻略するかを楽しむ。  猪突(ちょとつ)猛進ではない。  視野を広く、心に余裕を持つことで、相手を観察でき、弱点を突く可能性は広がるという意味だろう。  「だいたい終わってから『遊び心がなかったな』と後悔してきたことが多々ある」。  南ア大会で足りなかったものを海外挑戦10年の経験から見つけた。

④心強いのは、各ポジションに経験と実績十分なベテランがいることだ。  (中略)  「精神的なところで明らかに違う。それは10年(南ア大会)を経験した選手が何人もいるということが明らかにビッグアドバンテージ」。  GK川島、DF長友、MF長谷部、FW岡崎。  今大会、存在感を発揮している面々だ。  精神面での“余力”も遊び心と柔軟性、即興性につながる。  (中略)  遊び心とともに、憎たらしいほど落ち着いてプレー出来れば日本悲願の8強入りの可能性は出てくる。』

 6月14日のブログ(「NBAファイナルに思う」)で次のように書きました。

「つらい稽古も、ハードな試合も、ステフィン・カリーのように楽しそうに飄々と乗り越えていきたいものですね。」

 上記②で本田選手が言うように、稽古も試合も一生懸命頑張ることは大前提ですが、あまり熱くなり過ぎずに、その苦しさや辛さを楽しんでしまうような心の在り方を、「遊び心」と言うのだと思います。


2.『サッカー なぜ観てしまうのか』(7月4日 朝日新聞夕刊)

『①芥川賞作家、津村記久子さんの新刊『ディス・イズ・ザ・デイ』(朝日新聞出版)は、プロサッカー2部リーグを観戦する人たちの悲喜こもごもを描く物語だ。  全国各地を拠点とする架空の22チームと、それぞれのチームを応援する人たちが、シーズン最後の試合に臨むまでを連作短編のかたちで紡ぐ。  (中略)

②小説の登場人物たちは、なぜ自分がサッカーを観るのか自問自答する。  〈そもそもどうして人間は、サッカーチームなんていうものを好きになるのか〉。  実際のサポーターのなかには「チームと苦楽をともにしたい、勝負に一喜一憂したい」と語る人もいる。

③津村さんは「お金を払うからには良い思いだけしたい、楽して何かの上澄みだけほしいと、コストパフォーマンスのことばっかり考えてる人がいる。  でも、物事の浮沈の過程を楽しめないことは面白くないですよ」と話す。

④サッカーに限らず、スポーツチームを応援することは、勝ったり負けたりを受け入れることでもある。  「効率とかは度外視で、何かの当事者になってみるところから始める人たちの豊かさが、スポーツを観ることにはあって。  そこに楽しさがあるんです」』

 ベルギー戦は深夜3時前に起きてテレビ観戦です。  日本が2点先取したときは目頭が熱くなりました。  でも、結果は3点取られて逆転負けです。  グループリーグの3試合を含め、短期間の出来事ではありましたが、上記③の「物事の浮沈の過程を楽しむ」、④の「勝ったり負けたりを受け入れる」体験ができました。

 「物事の浮沈の過程を楽しむ」・「勝ったり負けたりを受け入れる」ということで言えば、空手の試合に対する関わり方もまったく一緒だと思います。  その中で、選手は選手として、セコンドはセコンドとして、サポーターはサポーターとして、楽しみ・学ぶことができます。

 侍ジャパンが終わったので、次はチーム城西ですね(笑)

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センサーを働かせる

囲碁棋士の井山裕太さんが書かれた『勝ちきる頭脳』(幻冬舎)を読みました。  「センサーを働かせる」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①プロの勝負とは、優勢であってもそのまま逃げ切れるほど甘いものではなく、かといって、劣勢であってもそのまま負かされてしまうほど厳しいものでもないのです。  そうした極めて曖昧なものの上に漂っている「勝敗」を、どうやって自分のほうへ微笑ませるか?  

②これまた盤上の着手と同じで正解はないのですが、この部分でうまく立ち回れるかどうかが勝敗に直結することは間違いありません。  こうした立ち回りの技術を一般的には「勝負勘」と言うのですが、僕はよく「センサーを働かせる」という表現を使います。  

③好結果を出すことができている時は、このセンサーの感度・働きが良く、形勢が悪くても「このままじっと辛抱していれば、必ずどこかでチャンスが来る」と信じることができて実際その通りになります。  逆にセンサーの働きが悪い時は、「形勢が悪いのだから、もうイチかバチかだ!」とばかりに短気を起こして、負けを早めてしまいます。  (中略)

④形勢不利の際には、もう一つ大事なことがあり、それは「相手に決め手を与えない」ということです。  結果を出せる人は、例外なくこの「決めてを与えない技術」が優れています。  一点差で負けていても、次の一点を与えずに辛抱し続ける技術です。

⑤でも形勢が悪い状況は嫌なので、そこから早く脱出しようと、つい逆転ホームランを狙うような無理な勝負手を打ってしまいがちですが、それを咎められたら致命傷を負ってしまい、負けが決まってしまいます。

⑥そうではなくて、形勢が悪いことを素直に受け入れ、嫌な状況であっても辛抱することが大切です。  そのうえで、相手にとって難しい手を打って悩ませる。  相手も人間ですから、どこかで隙を見せるものなのです。』

極真の試合でも「センサーを働かせる」ことが最重要です。  でも中には、センサーのスイッチを切ったまま、独りよがりで戦っている選手もいますね(笑)

また、「相手に決め手を与えない」「相手にとって難しい手を打って悩ませる」ことも勝つためには必須です。

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「流れ」の正体

『運』(野村克也著 竹書房)を読みました。  第5章『「流れ」の正体』から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①野球の試合の中で、常に勝敗を左右するキーワードのように言われるのが「流れ」である。  「あそこで流れが大きく変わった」「あのエラーで流れが向こうに行ってしまった」「このファインプレーで流れがこっちに来るぞ」  そういう言葉を多くの試合で耳にする。

②いったい、この「流れ」とは何か。  これも運やツキと同じように、理論的には明確に説明しにくいものだ。  そのくせ、私を含めて長年、野球の現場に携わってきた人たちは、同じ場面を見て、異口同音に「これで流れが変わる」と言ったり感じたりする。  つまり、そうした「流れ」が明らかに存在するというのが、野球経験者や野球を見聞きしてきた人の共通認識だ。

③「流れ」を私なりに定義するとすれば、「勢い」であり「雰囲気」であり「感性」である。  劣勢だったチームが流れをつかんで、勢いに乗って逆転勝ちをする。  いい流れが来て、それまで沈んでいた空気がガラリと変わって、ベンチもチームもいい雰囲気になって逆転勝ちをする。  目に見えない流れを感じる力、つまり感性が優れている選手や監督がいるチームが流れをつかんで、実力が上回っている相手に勝つ。

④「流れが味方して勝った」というのは、そういったことの積み重ねの結果だ。  流れを味方につければ逆転勝利もできるし、実力以上の結果を得ることもできる。  逆に言えば、流れが相手に行ってしまうと、優勢だったのにひっくり返されてしまったり、実力で劣っているはずの相手に負けてしまったりする。

⑤流れの怖いところは、たった1球で変わってしまうことだ。  (中略)  ここで瞬時に状況判断や予測をする力こそが、流れをつかむためにもっとも大切なことだ。  それが、感性なのだ。

⑥感性とは、感じる力であり、気づく力である。  (中略)  一流と言われる選手が身につけている「感じる力」を二流以下の選手は持っていない。  言い換えれば、鈍感な人は、決して一流になれない。  鈍感な人は、流れも見えないし、結局は運もツキもつかめない。

2.①感情の動きがプレーに影響を与え、試合の流れを変えてしまう。  逆に言えば、ピンチになろうがチャンスになろうが感情を大きく揺さぶられることを防げれば、こちらに来ている流れを相手に渡すこともない。

②あるいは、相手が不安になったり動揺したりしていることを感じ取れることができれば、その隙を突いて流れをこちらに引き寄せることもできる。  

③感性と感情が流れを左右する大きなポイントだとすれば、感性を磨き、感情をコントロールすることによって、流れをつかむこともできるはずである。

3.①流れとは、目に見えないものだ。  流れも運も、形として目に見えないけれど、ときとして勝負の行方を左右してしまうほどの力がある。  流れも運も、いわば「無形の力」なのである。

②私は監督としてチームを率いるときに「無形の力を身につけよう」ということを繰り返し言った。  とりわけ、楽天のように戦力が乏しい球団では、実力だけでは強豪相手に戦えない。  弱者が強者に勝つためには、実力プラスアルファの力が必要だ。  それが、無形の力なのだ。

③無形の力とは、たとえば、観察力や情報収集力、分析力や洞察力、記憶力、判断力、決断力といったものだ。  頭を使い、知力と感性を働かせて戦えば、有形の力だけでは勝てない相手に勝つことができる。  それが無形の力だ。

④たとえ体力や技術力で劣っていたとしても、知力でそれをカバーすることはできる。  指導者の中には「体力や技術力を気力でカバーしろ」と言う人もいるが、私はそういう指導を尊敬できない。

⑤気力も無形の力と言えなくはないが、、昔ながらの軍隊式精神野球の根性論には知性も感性も根拠も乏しい。  理をもって戦うことをよしとする私から見れば、「気力も必要だが、やみくもに根性で戦う前に知力を使おう」と言いたくなる。

⑥エネルギーにたとえれば、持続可能な力は、どう考えても気力ではなく知力のほうである。  流れについて言えば「気力と根性で流れを呼び込もう」というよりは「知力と感性で流れを見極めよう」というほうが、少なくとも再生可能なエネルギーになりそうだ。』

NFLの試合を観ていると「momentum(モメンタム)」という言葉がよく出てきます。  「(試合の)流れ」のことです。  

極真の大会でも、試合の流れを自分のほうに引き寄せることは大切ですね。  そのためには、①感性を磨くこと、②感情をコントロールすること、③知力を使うこと、の三点が、野村さんによると重要なのだそうです。  まったく同感です。

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