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本番に強い子の育て方

メンタルトレーナーの森川陽太郎さんが書かれた『本番に強い子の育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①「本番」でも本来の力を発揮できる人というのは、「緊張しない人」なのでしょうか。  答はNOです。  程度の差はあるでしょうが、大舞台ともなれば、どんな一流のアスリートだって、誰もが緊張を感じています。

②「緊張」というのは、無意識にわいてくる感情です。  そして感情というのは、それがどんな種類のものであっても、自分の力で打ち消したり、別の感情に変えることはできないものなのです。

③「本番に強い人」というのは、決して「緊張しない人」ではありません。  本番に強いか弱いかは、緊張するかしないかの違いではなくて、「緊張していても実力が発揮できるか、できないか」の違いなのです。


2.①感情には、プラスの感情とマイナスの感情があります。  ただし、ここでいうプラス/マイナスは、それを心地いいと感じるか、嫌なものだと感じるかの違い、いわば受け取り方の違いであって、「プラスの感情=いいもの、マイナスの感情=悪いもの」ではないということに注意してください。

②多くの人が誤解をしていますが、本番で力が発揮できないのは、「緊張している」という事実のせいではありません。  (中略)  本当は緊張しているのに、緊張していないと強引に考えること、無理に自分にとってプラスの感情にすり替えとようとすること、マイナスの感情を打ち消そうとすること。  それが、実力を発揮できない大きな原因なのです。

③明らかに緊張している様子のお子さんに対して、「落ち着いて!」「平常心で!」という言葉で励ます人は多いのですが、むしろこれは、逆効果。  なぜなら、これらは感情を押し殺せと言っているのに等しい言葉だからです。  同様に、「大丈夫、全然緊張していないよ」などと暗示をかけるのも避けるべきだと、僕は思っています。

④つまり、大事なことは、感情をむしろ素直に「気にする」ことです。  たとえそれが「怖い」「ドキドキする」「逃げ出したい」といったマイナスの感情だとしても、それを正直に受け入れ、無視したり否定したりしないこと。

⑤「緊張」を感じているなら、「自分は緊張している」ということを、ありのままに受け入れることです。  それが、本番で実力を発揮するための大事な最初のステップなのです。


3.①「うまくいったときのイメージをもって本番に臨めば、実力を発揮できる」  このようなポジティブシンキングは、本番で実力を出すために、はたして本当に必要なのでしょうか?  (中略)  「どんなときでも結果を出す、力を発揮する」という観点から考えるなら、ポジティブなこともネガティブなことも想定して、いかに「想定外」をつくらないかが大事なんです。

②これは具体的な「事態」をすべて想定しろというわけではありません。  想定するのは、本番のなかで、自分がどういう「感情」になりうるかということです。

③お子さんがどんなときにどんな感情になりやすいのかを普段から親子で話す習慣を持つのがとても大切なのです。  感情が想定されていれば、その感情に対する対処法を事前に考えておくことができます。

④たとえば、「あわてる」「焦る」という感情が想定されるのなら、「あわてたり、焦ったりしても、必ずできることは何?」と質問してみてください。  「味方とパスを回すことならできる」「大きい声を出すことならできる」という答えが返ってきたら、「じゃあ、その気持ちになったら、それをやるようにしよう!」と、事前に決めておけばいいのです。

⑤ただしこれは、「あわてている」「焦っている」気持ちを落ち着かせるための行動ではありません。  大事なのは「あわてていても、パスが回せた」「焦っていても、大きな声が出せた」という感覚を味わうこと。  いわば「できた感」を得ることです。

⑥本番の中で、このような「できた感」をたくさん味わうと、本当の意味で、気分が乗ってきます。  それによって、本来の力を発揮できるようになるのです。

⑦また、このような「マイナスの感情をもっていてもできた!」という経験を重ねていけば、マイナスの感情=失敗する=悪いこと、という思い込みが次第に解消されていきます。  すると、マイナスの感情を感じて「もうダメだ」と短絡的に思うのではなく、「でも大丈夫、イケる!」と思えるようになるのです。  たとえそのまま試合には負けてしまったとしても、「あわてたけど、できた」「焦ったけど、できた」という自信がつきます。

⑧つまり、あらゆる感情に対する嫌なイメージが解消されれば、どんな状況でも=どんな感情になっても、実力を発揮できるようになります。  それが「本番に強い子」になるということなのです。』

選手・指導者だけでなく、少年部のご父兄にもお読みいただきたい一冊でした。

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「身がこわばる」と「身が引き締まる」

脳科学者の茂木健一郎さんと将棋の羽生善治さんが書かれた『「ほら、あれだよ、あれ」がなくなる本』(徳間書店刊)を読みました。  羽生さんが書かれた「ベストパフォーマンスを発揮するには」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①当然のことながら、挑戦をしていく、あるいはなにかをやっていく時には、モチベーションややる気というのが非常に大きく影響していると思います。  最近、スポーツをしているアスリートたちが、インタビューの受け答えなどで、「楽しんでやりたいです」「楽しんでその競技に打ち込みたいです」という趣旨の発言をしていることが、非常に多いような気がします。

②彼らや彼女らがなにかのメンタルトレーニングを受けてそう言っているのか、あるいは自分自身の経験則から話しているのかは判別できないのですが、本当にそのとおりだなと思います。  どういう状態がいちばんいいパフォーマンスを発揮できるかと言われたら、ほぼ間違いなく楽しんでいて、落ち着いていて、リラックスしているという状態がいちばんいいということになります。

③ただ、これも現実的な話として、いつもいつも、どんな状態でもリラックスをしていて、落ち着いていて、ゆとりを持った心持で臨めるかと言われたら難しいと思います。  時には緊張してしまったり、焦ってしまったり、慌てたり、あるいはプレッシャーにさいなまれるというようなこともあります。

④そういうプレッシャーがかかっている時に、棋士はどんなふうに考えているかというと、一つにはプレッシャーがかかっている状態や緊張している状態というのは、最悪ではないと思っていることです。  いちばん悪いのは、やる気がない状態だと思います。  どんなに能力があってもやる気がないわけですから、そこはいかんともしがたいことです。  しかし、少なくとも緊張している状態は、やる気はあるということになります。

⑤もう一つは、そういう緊張とか、プレッシャーがかかっている状態というのは、けっこういいところまで来ているということが多いということもあります。  (中略)  あともう少し、もう一歩のところで目標に到達できるとか、次のところに進むことができるとか、そういうときにプレッシャーはかかりやすいということです。  (中略)  自分でもあと少しという手応えがあるからこそ、緊張してしまうのではないかと思っています。

⑥もう一つは、プレッシャーのかかる状態に挑戦していくとか、緊張している状態に身を置くということによって、初めてその人が持っている能力とかセンスとかが、開花するということもあると感じています。  (中略)  日常の練習の中でも一生懸命やっていますが、どういう時にいちばん深く考えているか、どういう時にたくさんアイデアを思いつくかというと、それはやっぱり公式戦です。  待ったができなくて、緊迫して、時間に追われているという状態なのです。  そういう状況環境に身を置くことによって、さらに自分が持っているものが発揮されていくということがあるのではないかと思っています。

⑦日本語の表現ってすごいなと思う時があります。  緊張しているとか、プレッシャーがかかっているとか、なにか上がってしまっている時に、それが程よい場合と、ガチガチになってしまってうまくいっていない場合の2種類があると思います。

⑧よくない緊張には「身がこわばる」という表現があります。  身がこわばっているという表現が当てはまる時は、あまりいい状態の緊張ではありません。

⑨いい緊張には「身が引き締まる」という言葉があります。  身が引き締まっているというのは、ある程度の力は入っているのですが、ただ、必要以上は入っていない状態です。

⑩適切な状態の緊張感、緊迫感を持っているということなので、なにかに挑戦していく時に「身が引き締まるような」状態を作り上げていくというのがちょうどいいのではないかと思っています。』

私の経験では、大事な試合や試験の際に、⑧~⑩に言う「身がこわばる」のではなくて「身が引き締まる」状態を作り上げられるようになるには、「場数を踏む」しかありません。  試合や審査会のあいさつでもよく話しますが、試合や審査会というのは、「場数を踏む」ための大事なトレーニングの場でもあります。

2週間前は城西カップ、昨日はビギナーズカップ、今週末は第48回全日本大会と試合が続きます。  選手の皆さんの参考になればと思い、若干長くなりましたが、紹介しました。

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カス・ダマトの教え

原稿書きがやっと一段落しました。  原稿を書く時に参考にした『真相』(マイク・タイソン著 ダイヤモンド社)の中の「カス・ダマトの教え」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。  カス・ダマトはマイク・タイソン、フロイド・パターソン、ホセ・トーレスなどの世界チャンピオンを育てた名伯楽です。

『①気持ちははやったが、カスの家に(毎週末)通い始めた当初はまったくボクシングをさせてもらえなかった。  テディとの練習が終わると、カスが横に座って、二人で話し合う。  彼は俺の気持ちや感情、ボクシングの心理面について語った。  俺の心の奥まで知りたがった。  このスポーツの精神面について、いろんな話をしてくれた。

②まずカスは、恐怖心と、それを乗り越える方法について語った。「(前略)  野原を横切っているシカを思い浮かべろ。  森に近づいたとき、突然、本能が告げる。  危険なものがいる。  ピューマかもしれない。  ひとたびそうなると、おのずと生存本能が起動して、副腎髄質から血液にアドレナリンが放出され心臓の鼓動が速まって、並外れた敏捷性と力強さを発揮できるようになる。  通常そのシカが15フィート跳べるところを、アドレナリンによって最初の跳躍が40フィートにも50フィートにも延びる。  人間も同じだ。  傷つけられたり脅かされたりといった状況に直面すると、アドレナリンが心臓の鼓動を速める。  副腎髄質の作用で、ふだんは眠っている力を発揮できるんだ。」

③わずか14歳にして、俺はカスの心理学の狂信者になった。  カスは自己暗示にも凝っていた。  カスは指導する相手の状況に合わせて自己暗示の内容を変える。  俺には、「世界最高のボクサー。  誰も俺には勝てない。」という言葉を朝から晩まで何度も繰り返し唱えさせた。  これをやるのは大好きだった。  次第に自身が漲ってくるように感じたからだ。

④カスは一緒に暮らした最初の何週間かで、こういうことを全部説明し、計画の全貌を見せてくれた。  そして、俺に使命を与えた。  「史上最年少の世界ヘビー級チャンピオンになる」ことだ。  あとから知ったことだが、カスはカミールに、「あいつこそ、俺が生涯待っていた男だ」と嬉しそうに話していたそうだ。』

6月19日(日本時間20日)に行なわれた2016NBAファイナル第7戦は、クリーブランド・キャバリアーズがゴールデンステイト・ウォリアーズを93-89で下し、初優勝しました。  キャバリアーズはシリーズ1勝3敗で迎えた第5戦以降に3連勝で逆転優勝を果たした史上初のチームとなりました。

試合は大接戦で、第4クォーター残り1分9秒にキャバリアーズがタイムアウトを取った時点で、スコアは89-89の同点でした。  残り約1分でキャバリアーズが4点を追加し、勝負が決まりました。

NFLのニューイングランド・ペイトリオッツ、NBAのウォリアーズ、応援している2チームとも、夢は来シーズンに持ち越しです。  でも、その前にチーム城西の第48回全日本大会ですね。


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