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書く力

1.ジャーナリストの池上彰さんと読売新聞『編集手帳』執筆者の竹内政明さんの対談集『書く力』を読みました。  『名文を「書き写す」意味』の項から抜粋して紹介します。

『池上・・・竹内さんは、昔から、いい文章を見つけては、それを書き写してきたとお聞きしました。

竹内・・・いまも続けています。  二日に一度くらいのペースで、『井上靖全詩集』に収録されている『北国』という詩集の一部分をノートに書き写しています。  (中略)  この『北国』に関しては、頭からお尻まで30回くらいは書き写したと思いますね。  少しずつでいいんです。  ただ、ずっと続けることと、同じところを何度も書き写すことが大事なんだろうと思って取り組んでいます。

池上・・・スポーツ選手のトレーニングと、考え方が似ていますね。  王貞治選手やイチロー選手はホームラン王になっても、首位打者になっても、練習を欠かさない。  「文章を書く」ということも、同じですよね。  うまくなりたいのであれば、練習を続けるしかない。

竹内・・・王さんと比べられると困ってしまうのですが、同じ文章を繰り返し書き写せば書き写すほど、「いい発見」が出てくるんですね。  読むだけなら、すっ飛ばしても読めないことはありませんが、書き写すとなると、一字一句追っていくことになる。  まずこれが文章修練には効きますね。  名文を一字一句追ってみると、自分がいかに手抜きをして書いていたかを思い知らされる。』

私も毎回のブログで、備忘録的に書籍の一部を書き写しています。  2007年9月3日が第一回なので、もう少しで10年です。  少しは『書く力』がアップしたかな~(笑)


2.次の文章は、(本書で紹介されている)読売新聞2016年5月3日『編集手帳』からの抜粋です。

『国文学者の池田弥三郎さんに、夫人と一緒に東北の旅館に泊まった折の思い出話がある。  散歩に出る時、番頭さんが「じいさん、ばあさん、お出かけ」と大声で呼ばわった。  戻ると今度は、「じいさん、ばあさん、お帰り」。

一度はともかく、二度は勘弁ならぬ。  キミ、僕たちは確かに若くはないが、もっとほかに言い方があるんじゃないか!  問いただしたところ、〝じいさん、ばあさん〟は夫妻の部屋番号「十三番さん」であったという。』

なるほど(笑)

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震度7の生存確率

『震度7の生存確率』(仲西宏之・加藤和彦著 幻冬舎)を読みました。  本書から抜粋し、番号を付けて紹介します。  

『1.「正常性バイアス・麻痺」

①突然、大災害に直面して最善の行動をとるのは大変難しいことです。  多くの人は固まって動けなくなります。  (中略)  なぜ凍りついて動けなくなるのでしょうか。  その理由を災害心理学者のジョン・リーチは人間の脳の働きで説明しています。  

②人間は、通常の習慣的な行動をとる時には「刺激→反応」を意識せずに自動的に行なうようにできていますが、通常とは異なる事態に直面すると、この「刺激→反応」システムの調整がうまく機能しなくなるので、
・何もできなくなる人 70~75%
・我を失い泣き叫ぶ人 15%以下
・落ち着いて行動できる人 10~15%
になるといいます。  心理学者が「正常性バイアス」と呼ぶ状態です。

③震度7の地震に襲われると、人間は激しい揺れで物理的に動けなくなるだけでなく、人間の脳に備わっている機能が働き心理的にも動けなくなる可能性が高くなります。  (中略)  

④ところが物理的・心理的な原因以外にも人が動けなくなる理由があります。  それは、「麻痺」と呼ばれる状態に陥ることです。  アマンダ・リプリーの『生き残る判断 生き残れない行動』(光文社)では「特定の状況下では、炎上している飛行機、沈没しかけている船、また急に戦場と化した場所などでも、多くの人はまったく動きを止めてしまう。」と報告しています。  (中略)

⑤それでは、大災害に直面した時に起こる麻痺から抜け出すためにはどうすればよいのでしょうか。  リプリーは事前の準備とリーダーシップと言っています。  (中略)

⑥十分な訓練を受けた客室乗務員が避難時に乗客に向かって金切り声を上げるのは、リーダーシップを発揮するためと理解されていますが、それだけではありません。  大きな声を出すことで、乗客の知覚麻痺状態をさえぎることができるのです。』


2.「ゴブリン・ポーズ」

私たちが提唱する災害時にしゃがみ込む基本姿勢は、ゴブリン・ポーズです。  ゴブリンとは英語で鬼の意味です。  頭に乗せた拳が鬼の角のように見えるのでゴブリン・ポーズと名づけています。

①片膝をついてしゃがみ、
②後頭部に握りしめた両手の拳をしっかりと乗せ、
③顔を両腕で挟み、
④あごを引いて完成です。


3.「常に状況のシミュレーションを行なう癖をつける」

発災の瞬間を生き延びるためには、

①その瞬間、動けなくなる可能性が高いこと
②麻痺を解くために大きな声を出すこと
③大きな声を出しながらゴブリン・ポーズをとること
④「三角形の空間」※を瞬時に見極めること
・車の場合:ボンネット付近(フロント・タイヤの中心から少し後ろ)
・屋内:頑丈な柱の近く
⑤電車に乗車中の場合には、つり革などをしっかりつかみ倒れないこと

これらを瞬間的にできるようにし、自力移動と自由移動を頭に浮かべます。

こうした基本行動をとることを理解できたら、発災の瞬間のシミュレーションを行います。  事前の準備は発災の瞬間の麻痺を生きのびるためにも重要です。』

災害時の対処法を知っているか知らないかが、生死を大きく分けると思います。  その意味で「目からウロコ」の記述が満載でした。   一読をお薦めします。

※3.②の「三角形の空間」については2011年4月19日の私のブログ(タイトルは『三角形の救命スポット』)で取り上げました。  参考にしてください。

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人類は絶滅を逃れられるのか

『人類は絶滅を逃れられるのか』(スティーブン・ピンカ―他著 藤原朝子訳 ダイヤモンド社)を読みました。  

1.「訳者まえがき」から抜粋して紹介します。

『いったい人類の未来は明るいのか、それとも、実はピークを過ぎて絶滅に向かっているのか・・・。  2015年11月、そんな疑問と不安をテーマにしたディベートが、カナダで開かれた。  (中略)  このディベートは4人の識者に議論してもらうだけでなく、聴衆がディベートの前と後でどのくらい意見を変えたかによって勝敗を決めるのも魅力の一つ。』  


2.このディベートで肯定派を任ぜられたスティーブン・ピンカー(認知心理学者・ハーバード大学心理学教授・1954年カナダ生まれ)の発言から抜粋して紹介します。

『人類に起きた10のいいことをリストアップしてみました。

第一に、寿命。  150年前、人間の寿命は30年でしたが、今は70年で、まだ伸びそうです。

第二に、健康。  人類に最大級の苦痛をもたらしてきた二つの原因(天然痘と牛疫)は、永久に撲滅されたのです。

第三に、豊かさです。  200年前、世界の人口の85%は極貧生活を送っていました。  それが今は10%に低下しています。  さらに国連によると、この割合は2030年、までにゼロになりそうです。

第四に、平和。  先進国間の戦争は70年、超大国間の戦争は60年間起きていません。  内戦は相変わらずありますが、数は減っていますし、国家間の戦争ほどの破壊性はありません。

第五は安全です。  世界の暴力犯罪の発生率は低下しています。  それも多くの場所で大幅に。  主な犯罪学者の間では、向こう30年間で世界の殺人発生率は現在の半分に減ると見られています。

第六に、自由。  逆行している国はありますが、世界の民主主義指数は史上最高です。  世界の人口の60%以上がオープンな社会に住んでいます。  こちらも史上最高です。

第七に、知識。  1820年、基礎教育を受けている人は17%にすぎませんでしたが、現在は82%に上昇し、急速に100%に近づいています。

第八に、人権。  世界的なキャンペーンが展開されてきたこともあり、児童労働、死刑、人身売買、女性に対する暴力、そして同性愛を犯罪とみなす国は大幅に減ってきました。

第九に、男女平等。  世界的なデータを見ると、女性の教育水準が高まり、婚期が遅くなり、所得が増え、権力や影響力のある地位に就くことが増えていることが分かります。

最後に、知性。  すべての国で、知能指数は10年で3ポイントのペースで上昇しています。』


3.ディベートで否定派を任ぜられたアラン・ド・ボトン(哲学者、エッセイスト、作家・1969年スイス生まれ)の発言から抜粋して紹介します。

『私はスイスで生まれ、人生のかなりの年月をスイスで過ごしてきました。  教育制度は素晴らしく、国民の平均年収は5万ドルで、1648年のウェストファリア条約以来平和で、病院のレベルは最高です。  

ところがそんなスイスもパラダイスではありません。  実際に多くの問題を抱えています。  私はこれを「第一世界の問題」と呼びたいと思います。  なぜスイスと、スイスのような国が完全ではないのでしょう。

それは第一に、理性をもってしても、人間の愚かさはなくならないからです。  啓蒙主義は、「人間は正しいことを教えられれば、それを実行に移せる」と約束します。  つまり悪いことが起きるのは、無知のせいだと考えたのです。  しかしそれは違います。  愚かさは、そう簡単にはなくなりません。

第二に、GDP(国内総生産)が増えても、貧困は撲滅できません。  多くの百万長者や億万長者が、まだ物足りないと感じています。  これこそが真の貧困です。  そして残念ながら、その感覚は大きくなっており、どんな所得レベルになっても存在します。

第三に、卑劣性と暴力と残虐性が行き着く先は、戦争とはかぎりません。  たとえお互いに死ぬまで殴り合わなくても、こうしたことは社会に存在し続けるのです。

第四に、スイスには天然痘もギニア虫症もなく、医療は非常に進んでいます。  それでも人々は依然として死んでいっています。  つまり人間は、死を克服することはできていないのです。』


4.以下は結果に関する記述です。

『ディベート前の投票では肯定派は71%、否定派は29%だった。  ディベート後の投票では、肯定派は73%、否定派は27%だった。  否定派から肯定派に意見を変えた人のほうが多かったことから、このディベートの勝者はスティーブン・ピンカーとマット・リドレーとする。』

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