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三つの資質

『呻吟語』(湯浅邦弘著 角川ソフィア文庫)を読みました。  中国明代末期の官僚・呂 新吾(りょ しんご 1536~1618)が書いた『呻吟語(しんぎんご)』の解説本です。  「三つの資質」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。  

『(1)現代語訳

心が落ちついて物事に動ぜず、どっしりとしていることは、(人として尊重される)第一の資質である。  小さなことにこだわらず、才知と武勇にすぐれていることは、第二の資質である。  聡明で弁舌にすぐれていることは、第三の資質である。

(2)書き下し文

深沈厚重(しんちんこうじゅう)なるは、是れ第一等の資質。  磊落豪雄(らいらくごうゆう)なるは、是れ第二等の資質。  聡明才弁(そうめいさいべん)なるは、是れ第三等の資質。

(3)解説

①人として尊敬されるべき三つの資質をあげています。  今風にいえば、冷静沈着、豪放磊落、頭脳明晰といったところでしょうか。  第一等としてあげられている「深沈厚重」は、『呻吟語』全体を貫くキーワードだといってもいいでしょう。

②では、呂 新吾がことさらに冷静沈着を説くのはなぜでしょうか。  それは、要するに、当時の風潮が、これとは正反対だったということなのです。  軽薄な言葉遣い、拙速の行動。  そうした世相に対して呂 新吾は警告を発しています。

③それゆえ、頭脳明晰、弁舌さわやかというのは、ようやく第三の資質としてあげられるにとどまっています。  往々にして、饒舌(じょうぜつ)・軽薄になっていくからです。

④ただこれは、呂 新吾がはじめて言い出したのではなく、古く『論語』にもこうありました。

・「巧言令色(こうげんれいしょく)、鮮(すく)なし仁」・・・巧みな言葉遣いや外見をつくろうのは、仁の心にとぼしい。

・「事に敏にして言に慎む」・・・君子はすばやく仕事をこなし、言葉を慎む。

・「君子は言に訥(とつ)にして、行ないに敏ならんことを欲す」・・・君子は口下手であっても、行動には敏捷でありたいと願う。』

全日本大会の翌日に行われた全国支部長会議で、松井館長から全日本のトップ選手の理想的な言動についてお話がありました。  多少参考になるかとも思い、取り上げてみました。  ちなみに過去のブログ(2010年1月15日、2014年1月12日)でも、『人物三等』として紹介しています。  

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