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いまそこにいる君は

今年も、菊澤院長を通じて北方謙三先生から、新刊を私宛のサイン入りで頂きました。  書名は『いまそこにいる君は』(新潮社)です。  『出るものを出しきればよかった』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①犬と一緒に、ただ歩いてた。  いつもの風景である。  不意に、下腹がぎゅっという感じになった。  大きい方を、催してきたのである。  その方面は、私はきわめて規則正しく、トイレを捜し回るなどという経験は、まったくない。

②それでも、催してきたのである。  そんなはずはないと自分に言い聞かせたが、出るものは出ようとする。  ちょっと、汗をかいた。  散歩の行程は、あと十五、六分残っている。

③一度、立ち止まった私は、奥歯を噛みしめてまた歩きはじめた。  いつもの風景が、違うものに見えてくる。  前方に眼を据え、いつもに増して速く歩いた。

④家の門の前に立った時は、ほっとしたよ。  私はトイレに飛び込み、盛大に排出した。  ふう、と私はほんとうに声を出して、腰をあげた。

⑤なんだかセンサーのようなものがついていて、立ち上がると自動的に水が流れる。  妙にやかましい音をたてて、水が流れた。  ふっと便器に眼をやると、黒い塊が流れる水の中で躍っている。

⑥最初に私が感じたのは、自分はこんなものを出してしまったのか、という驚きだった。  なにかが、違うと言っている。  眼を凝らし、私は叫び声をあげた。

⑦流水の中で躍っていたのは、スマホである。

⑧とっさに、私はそれを掴み出し、水道水で洗い、水を拭きとった。  それから、電源を入れた。  大丈夫であった。

⑨トイレに携帯を落とした、などという話を聞いて、馬鹿なことをするものだ、と私は思ったものだ。  自分でやるなど、想像したことはなかった。

⑩私は散歩に出て、スマホをジーンズの尻ポケットに入れていた。  窮迫した帰り方で、靴も脱ぎ散らかしていた。  尻ポケットにスマホなど、思い及びしなかったのだ。』

笑いのツボが、私と同じ方には受けると思うんですが、大丈夫かな~(笑)

後日談も、面白いです。  興味ある方は是非買って読んで下さい。

17日間のオリンピックが始まりました。  初日から金1つ、銅4つで、上々の滑り出しです。  でも、オリンピックやワールドカップの期間中は、どうしても寝不足になりますね。

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