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幸福

1.『鋼のメンタル』(百田尚樹著 新潮新書)を読みました。  幸福について書かれている部分から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①人類は誕生以来、凄まじく過酷な環境で生きてきました。  飢餓、疫病、戦争は常に身近にあり、しかも生死に直結する恐ろしいものでした。  つい百五十年ほど前の江戸時代には、飢饉になると一挙に何十万もの人が飢えて死んだのです。

②今なら抗生物質や手術で治せる病も、最近までその多くが治療法がありませんでした。  盲腸でさえ命取りの病気でした。  足を骨折すれば一生障碍者の可能性が高いし、白内障になればほとんど失明に近い状態でした。

③近代に入ってさえ、七十年前は大戦争がありました。  多くの日本人は毎日、空襲に遭っていたのです。  嘘のような話ですが、夜、寝ていると、空から爆弾が降ってくる中で暮らしていたのです。  空襲で命を失った人は八十万人にものぼります。  地獄の戦場で命を失った人は二百三十万人もいたのです。

④幸いにして現代の日本人は、戦争や飢餓とは無縁の生活を送っています。  病気も医療の発達でかなり克服されました。  こんな幸福な国民があるでしょうか。  人類が何万年も苦しんできた三つの厄災から、ほぼ完全に逃れることができたのです。  

⑤さらに言えば、奴隷制度もなく、人身売買もありません。  私には、現代の日本は人類が何万年も追い求めてきた「地上の楽園」を実現させた世界のように思えます。  にもかかわらず、現代人を見ていると、少しも幸福そうに見えないのです。

(中略)

⑥日本人はこんなに素晴らしい環境に暮らしていて、自分を少しも幸福と思っていないのです。  これは結局のところ、私たちが自分の幸福を常に他人と比べてばかりいるからにほかなりません。

⑦そろそろ、そういうことはやめにしませんか。  幸福の基準を自分で持とうではありませんか。  それが出来た人は幸福を掴める人になれると信じています。』


2.昨日、『世界史の誕生』(岡田英弘著 ちくま文庫)を読んでいたら、今から二千年前の中国の記述がありました。  これも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①紀元二年の統計では、中国の人口は約六千万人であったが、内乱が続き、後漢の洪武帝が紀元三十七年に中国の統一を回復したときには、約一千五百万人しか生き残っていなかった。  (中略)

②後漢の中国は繁栄して、百五十六年の統計では人口が五千万人を超えたが、百八十五年の「黄巾の乱」を始めとする内乱・内戦が半世紀も続いた結果、中国の人口はわずかに四百万人台に激減し、華北の平原では住民はほとんど絶滅した。

③生き残りの中国人のうち、二百数十万人が魏の曹操の配下に、百数十万人は呉の孫権の配下に、百万人足らずは蜀の劉備の配下に、それぞれ集まった。  これが三国時代の中国の実状である。』

①の紀元1世紀初頭の人口はわずか三十五年間で四分の一に、②の紀元2世紀末の人口は五十年間で十分の一以下に激減したわけです。  これを見ても、今の日本に暮らしていることがいかに幸せか分かります。

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