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羊の目

1. 『 羊の目 』 ( 伊集院静著 文芸春秋刊 ) を読みました。  

 読書は好きですが、フィクション小説は、普段あまり読みません。  

2.伊集院さんについて、印象に残っているのは、スポーツ雑誌の 『 ナンバー 』 で、ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手について書かれたエッセイです。

 松井選手の大ファンですし、ヤンキースタジアムに何回も行っているので、そのエッセイを読んで、大変感動したことを、思い出します。

3. 『 羊の目 』 では、昭和8年生まれの神埼武美という主人公が、浅草の侠客(きょうかく)浜嶋辰三に育てられます。  成人後に、渡世上の 「 親 」 である浜嶋のために、対抗する組織の人間に対して、殺人を犯し続けるストーリーがベースとなっています。

4.ロサンゼルス生まれで、オリンピック・メダリストのプロボクサー、和美 ( 実は、神崎の実の子と思われる ) との会話が印象的だったので、紹介します。

 『 「 神崎さん 」  和美が口調をあらためて武美を見た。

 「 何でしょうか 」

 「 僕はこの頃、自分が敗れる夢を見るんです。  戦うことが怖くて、眠れない夜もあります。  

 本当に強い人間は、そんなことを思わないはずです。  どうしたら、勇敢に戦えるのでしょうか。 」  ( 中略 )

 「 自分は、君のお母さんが話されたような、強い人間ではありません。  それでもこれまでに、どうしても戦わなくてはいけない時がありました。  正直、自分はとても怖かったのです。  

 でもその時、自分が戦うのは自分のためではなく、誰かのために戦うのだと、言い聞かせました。  その人のために、勝って帰ろうと・・・・・・。  

 たとえ、敗れることになっても、直前まで逃げ出すことなく、恥ずかしくない戦いをしようと 」

 「 敗れる直前まで、恥ずかしくないように、ですか 」

 「 はい。  ずっと勝ち続ける人は、いないはずです。  

 私も怖がって、自分を情けなく思いました。  それは、相手も同じなんじゃないでしょうか。  

 人は皆、迷える子羊ですから・・・・・・ 」 』  

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