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李登輝さん

『最高指導者の条件』(李登輝著 PHP研究所刊)を読みました。  李登輝(り・とうき)さんは1988年から2000年までの12年間、中華民国(台湾)の総統を務められました。  抜粋して、番号を付けて紹介します。

『①私はクリスチャンとして、『聖書』の強調する愛と公義の精神が信仰のすべてであり、主イエスはつねに私とともにあると考えているが、他の宗教を信仰しているならば、その神に祈ればよい。  (中略)

自己の存在を超越した「何か」を信ずることは、あらゆる困難を突破する際、精神面で唯一の助けになる。  「自己を離れた存在」が、私を助けてくれると信じていれば、どんな事柄であれ、恐れずに処理できる。  自らの倫理観を貫き、能力を十分に発揮するうえでも、信仰の存在は大きいのである。  (中略)

信仰は、フィロソフィー(哲学)と言い換えてもよいかもしれない。

②そもそも儒教は、「文字で書かれた道徳」ともいわれ、しょせんは科挙制度とともに、皇帝型権力を支えるイデオロギーにすぎない。  そう考えたとき、人民の心に平安をもたらすものではなく、また指導者のもつべき死生観の拠り所として、ふさわしいとはいいがたい。

士族出身で、儒教的な教養を積んできた、『武士道』の著者、新渡戸稲造(にとべいなぞう)先生が、最終的にキリスト教に道を求めたのも、結局は、儒教における死生観の不在が関わっているのではないのだろうか。

③指導者に勇気が必要だということに、多くの人は異論がないだろう。  (中略)

また「勇気」と同時に、対で求められるのが、「心の平静さ」である。  緩急あるなかで、いかに心を落ち着けた状態を保てるか。  これが適切な判断を下す基にもなる。

若い指導者の場合、この境地に達するのは、なかなか難しいかもしれない。  だが何事も経験であり、場数を踏むことで、より素晴らしいリーダーシップを発揮できるようになっていく。  そして、さまざまな困難にぶつかっているうちに、「こうなったあとには、こうなる」と、次第に手に取るように先の状況が読めるようになってくる。  そこで、真の「心の平静」も得られるようになるのだ。』

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