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キングコブラと坐る

1.花園大学教授で仏教学者の佐々木閑先生が、毎週木曜日の朝日新聞夕刊に、『日々是修行』というエッセイを書かれています。  昨年の8月16日からですので、1年を越えました。  仏教についてわかりやすく解説されており、毎回切り抜いて、スクラップしています。  昨年の9月28日の私のブログでも、取り上げました。

2.8月21日の内容が興味深かったので、抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①先日、タイ北部の山岳地帯にある仏教寺院から、突然、手紙が届いた。  差出人は、2人の日本人。  タイに渡り、現地の僧侶となって修行中だという。  日本でいろいろ悩んだ末、文字どおり不退転の覚悟で、海を渡った人たちだ。  (中略)

②こんな人たちがいるのか、とまず驚いた。  そして、そこに書かれている修行の有り様を読んで、もう一度仰天した。

③その山岳地帯には、キングコブラという毒蛇がいる。  体長は、5メートルを超す。  噛むと、ものすごい量の毒液を出すので、象も倒れるという。  日本人僧侶のうちの若い人は、普段、お寺には住まず、山の上の洞窟(どうくつ)で暮らしているのだが、そこに、このキングコブラが出没するというのだ。

④「先日、キングコブラが来たので、一晩、一緒に過ごしました」と書いてあった。  なんとも恐るべき胆力である。  (中略)

⑤それを、平然とやってのける気構えに感服する。  それなのに、この人たち、「修行しているとはいえ、特別何かが変わったようにも思えず、遊び心で暮らしています」と語る。  「悟りに近づいた気がします」、などと言わないところに凄味(すごみ)がある。

⑥手紙を読んで気づくのは、「将来の夢」とか「修行の完成」といった、気張った「人生の目標」が感じられないこと。  気負いがないのだ。  日々の修行が、そのまま生きていることの実感になっているようだ。』

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