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日々是修行

私のブログで何度か紹介している、毎週木曜日の朝日新聞夕刊の連載、『日々是修行』(花園大学教授・佐々木閑先生)の先週9月18日の記事からです。  タイトルは、『生きることがつらい人に』です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①仏教は本来、「家内安全、お願いします」 「商売繁盛、頼みます」といった、先行きの幸運を願う宗教ではない。  家内が安全ではなく、商売も繁盛せず、「生きていくのがつらい」と感じている、そういう人のために仏教はある。

②「住み慣れた日常生活の決まり事で、生きていこうと思うから行き詰るのだ。  一度、それを全部捨てて、出家せよ。  そこには、普通の人が望むような、世俗の幸せはないが、その代わり、苦しみを離れた平安の日々がある。  さあ、どっちにする。  死ぬか、出家するか」と、こういう厳しい問いかけをする宗教だった。  長い歴史の中、自殺するのをやめて、仏教で再出発した人の数は、膨大なものに違いない。

③バブル経済の夢が覚め、「生きていくのがつらい」と感じる人が増えている。  (中略)  しかし、自分が苦しい目に逢った人は、他人の苦しみも理解できるようになる。  つらい思いをしている人は、自分でも気付かないうちに、その分、人間性が磨かれているのだ。  そういう人たちが大勢になって初めて、社会も、すこやかなものとなる。  そう思えば、今、苦しい状況にある若者たちは、これからの日本にとっての、貴重な人材ではないか。

④現代の若者に、「生きることに苦しみを感じたら、出家して僧侶になれ」などと、極端なことは言わないが、その「生の苦しみ」こそが智慧(ちえ)と慈愛(じあい)を生み、満足できる人生の、大切な栄養分になる、という釈迦の教えは、知っていてもらいたい。』

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