PREV | PAGE-SELECT | NEXT

三浦豪太さん『登山と優れた決断力』

登山家・スキーヤーの三浦豪太さんが毎週土曜日の日経新聞夕刊に「探検学校」というエッセイを書かれています。  12月6日のテーマは「登山と優れた決断力」でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①先日、世界的なアウトドアメーカーであるザ・ノースフェイスの創立者ケニス・ハップ・クロップさんとお会いしたとき、決断力の大切さを物語るこんな実話を聞いた。

②クロップ氏の友人にウィッタカー兄弟という米国人の双子がいる。  (中略)  2人とも身長2メートルを超える巨体でバイタリティーのかたまり。  一流の登山家かつ経営者だ。

③その2人が北米最高峰のマッキンリーを登山中に、足を骨折して動けなくなった登山家を発見した。  けが人は高山病の肺気腫も併発している様子で、早急な下山が必要と判断した彼らはすぐに無線でヘリコプターを要請。  気圧の低い高所では離着陸が困難だと渋るパイロットを説き伏せた。

④ところが、けが人を乗せていざ飛び立とうとすると、地面が近いため十分な揚力がないのと、けが人の加重分とで機体が浮き上がらない。  そこでウィッタカー兄弟は大胆な行動に出た。  ヘリコプターの両脇に立って2人で着地用そりの部分をつかむと、機体を持ち上げて思いっきり谷に向かって投げ込んだのだ。

⑤すると谷から吹き上げる風と落ちるスピードで揚力を得て、ヘリコプターは飛び立った。  クロップ氏が彼らに「大丈夫という確信があったのか?」と聞くと「ない。  でも何にもしなければ、けが人は確実に死んでいただろう」と答えたという。』

TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT