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柳家花緑さん

『落語家はなぜ噺を忘れないのか』(柳家花緑(かろく)著 角川SSC新書)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『(1)落語家という商売をしていると、よくこんな質問をされます。  「これだけたくさんの噺(はなし)を覚えるのは、さぞ大変でしょう。  いったい、どんなふうにして覚えてるんですか?  どうして忘れないのですか?」  (中略)

(2)私は、祖父である五代目柳家小さんに弟子入りした15歳の春から37歳になる現在までに、145本のネタを覚えました。  (中略)  実はこの145本のすべてが高座で使えるわけでもないのです。  (中略)

(3)今回整理してみると、だいたい次の3つのグループに分類できることがわかりました。

①いつでも高座にかけられるネタ・・・24本
②2~5回さらえば(軽めの稽古をすれば)高座にかけられるネタ・・・72本
③高座にかけたことはあるが作り直す必要があるネタ・・・49本
(中略)

(4)①を選ぶときにポイントとなったのは、一つには自分の中で噺がしっかり固まっているかということ。
  (中略)  どのような情景の中で物語が進み、登場人物はどんなキャラクターで、どういう気持ちで台詞(せりふ)を吐いているか。  それらがお客さんに最も伝わるにはどういった演出がベストか。  そこまで構築できていてはじめて、「いつでも」高座で披露できると言えるのです。  (中略)

(5)②は簡単にいえば稽古が足りていないもの。  私がもっと勤勉で、たとえば少しでも空いた時間に「今日は寝る前に、あの噺をそらんじておこう」なんてことを続けていれば、①に昇格する噺です。(中略)

(6)③は①②とはちょっと性格が違います。  正直、現段階において私の中では死んでいるネタなのです。  前座から二つ目を経て真打になるまでのどこかで覚えて、一度は高座にかけたことがあるものの、その後長年ほったらかしになっている状態といいましょうか。  ②の72本でさえ手をつける時間がない今、なかなか手を出しにくくなっているネタの面々です。』

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