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小川宏さん『心に残るいい話』

『小川宏の心に残るいい話』(小川宏著 清流出版)という本を毎日一項ずつ読んでいます。  今日読んだ『K先生』という項を抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①戦争中、学校が焼失したため卒業式が行われなかったところが多かった。

②戦後30年経った昭和50年(1975年)、卒業証書がもらえなかった生徒にスタジオに集まってもらった。  そのとき、Kという先生の思い出話になった。  このことは事前の取材で予想していた。

③先生は宿題をしてこなかった生徒に一本のムチを与え「先生の腕をぶちなさい」と言ったという。  生徒達は、初めは面白がって先生の腕をたたいた。  先生の左手は真赤にはれあがった。  今度は右腕を出した。  そのうち生徒たちは「もうぶてない」と泣き始めた。  先生は「この腕のはれは皆さんの心といっしょに直ります」と、静かな口調で言った。

④「あの先生は戦死したと聞いているが・・・」ということで、〝仰げば尊し〟がスタジオに流れはじめた。

⑤そのとき、スタジオの隅のカーテンが開かれた。  そして、白髪になったK先生がその姿を現した。  大の男たちが、恩師を取り囲んで泣き始めた。  私はモモをつねってそれに耐えた(このシーンを見ておられた森繁久弥さんがもらい泣きされ、ある本に書いてくださった)。』

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