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三浦豪太さん『カブトガニ』

12月10日のブログに続き、登山家・スキーヤー、三浦豪太さんの『探検学校』(日経新聞夕刊・毎週土曜日連載)12月20日分から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①(前略)  ビーチの手前には川がある。  仕方なしに川沿いに迂回(うかい)してみると、そこは湿地帯だった。  すぐに引き返せばよかったのだが、湿地帯の先には住宅街が見えている。  

②最短距離を進もうとそのまま足を踏み入れた。  すると少しずつ泥が足に絡みつき、ヒザのあたりまで埋まった時点で次の足が踏み出せなくなった。  底なし沼のようにずぶずぶと体が沈み始め、身動きのとれなくなった僕をパニックが襲う。  

③とその時、目の前を大きなカブトガニがスイスイと泳いでいくではないか。  カブトガニは体重を広い面積に分散しているので沈まない。  

④僕は即座に、自分も面積を広げようと上半身を泥につけて平らになってみた。  すると何と浮かぶではないか!  

⑤体中泥まみれになりながらも腹ばいになって元来た道へ戻り、窮地を脱した。  パニックに陥りかけながらも、気を落ち着かせてカブトガニの性質を見極められたことで九死に一生を得た。  危険な状況下でこそ、冷静な判断と発想の転換が生死を分けると実感した体験でもあった。

⑥それにしても〝生きた化石〟に命を助けてもらうとは。  2億年の間、姿を変えずにいてくれたカブトガニに僕は頭が上がらない。』

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