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ノーベル賞 益川教授

ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大学教授のインタビュー記事が1月31日の朝日新聞夕刊に載っていました。  抜粋して紹介します。

『ーーー昨年12月にストックホルムで臨んだ受賞講演では「自国が引き起こした無謀で悲惨な戦争」という表現で太平洋戦争に言及した。  開戦前年の1940年生まれ。  父は当時家具職人。  5歳のとき名古屋空襲に被災した。

「焼夷(しょうい)弾が自宅の瓦屋根を突き破って、地面にごろりと転がる。  家財道具を積んだリヤカーに乗せられ、おやじやお袋と逃げまどう。  そんな場面を断片的に覚えている。  焼夷弾は不発で、近所でうちだけが焼けなかった。  あとから思い返して、発火していれば死んでいたか、大やけどを負っていたと恐怖がわいた。  こんな経験は子や孫に絶対させたくない。  戦争体験はぼくの人生の一部であり、講演では自然と言葉が出た。」

ーーー58年春、名古屋大理学部入学。  日本人初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士の弟子の坂田昌一氏が教授の素粒子論教室で学んだ。

「坂田先生は『素粒子論の研究も平和運動も同じレベルで大事だ』と語り、反核平和運動に熱心に取り組んでいた。  科学そのものは中立でも、物理学の支えなしに核兵器開発ができないように、政治が悪ければ研究成果は人々を殺傷することに利用される。  『科学的な成果は平和に貢献しなければならず、原水爆はあるべきではない』と熱っぽく語られた。」

ーーーノーベル賞授賞式から約1カ月後、黒人初のオバマ米大統領が誕生した。

「ぼくは物理屋でいるときは悲観論者だが、人間の歴史については楽観的。  人間はとんでもない過ちを犯すが、最後は理性的で100年単位で見れば進歩してきたと信じている。  その原動力は、いま起きている不都合なこと、悪いことをみんなで認識しあうことだ。  いまの米国がそう。  黒人差別が当然とされてきた国で、黒人のオバマ大統領が誕生するなんて誰が信じただろう。  能天気だと言われるかもしれないが、戦争だってあと200年くらいでなくせる。」』

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