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林成之先生『「勝った!」と思うな』

昨日に続き、『望みをかなえる脳』(林成之著 サンマーク出版刊)から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①私がもう一つ北京五輪競泳チームに送った助言があります。  それは、最後の最後までレースの途中で「勝った!」と思うな。  そう思った瞬間、勝利が手からすべり落ちていくという点でした。  (中略)

②私たちが「勝った」「やった」という達成感や完結感を覚えたとたん、脳はその新しい情報にしたがって、思考と運動の間を緊密に連携していた神経伝達経路に一転、周囲との「間合い」を測るような調節機能を働かせることになり、高い緊張感や集中力に支えられていた運動能力を一気に緩(ゆる)ませてしまうのです。

③同じ北京五輪で、「ママでも金」を狙った柔道の谷亮子選手は国内選考会の決勝で一度敗れていますが、試合後のインタビューに、「有効をとっていたので勝ったと思った。  油断した」と正直に答えています。

④しかし正確には、それは油断ではなく(つまり心理的な問題というより)、この場面さえしのげば勝てる、あと少しで勝利が手に入る・・・そう思った瞬間、その一瞬の達成感覚がヤワラちゃんの脳神経に「緩み」を生じさせ、彼女を一流選手たらしめていた心技体の緊密なバランスが崩れて、最高度のレベルで発揮されていた身体・運動の能力を急激に低下させてしまった。  そんな脳科学上のメカニズムが原因と考えられます。  (中略)

⑤むろん、このことは運動の分野だけに限られたことではありません。  ビジネスの世界でよくいわれる、「仕事で満足したら、それ以上伸びない」とか「これでいいと思った地点からさらにハードルを高めよ」といった戒めの言葉にはおそらく、こうした「達成意識が否定作用として働く」脳の仕組みや特性が、無意識のうちにも、経験的に反映されているのだと思います。』

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