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山崎正和さん『世論と空気』

今日の朝日新聞朝刊に『世論と空気』と題したインタビュー記事が出ていました。  表題の次に「民主党の地滑り的勝利を生んだのは何だったのか。  大衆社会の気分や動向を長く見つめてきた、劇作家で評論家の山崎正和さんに聞く。」と書いてあります。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①私は日本社会に広がる「リーダーなきポピュリズム」が今回の結果を生んだと見ています。

②「ポピュリズム」はメディアでは「大衆迎合」とか「衆愚政治」などと言われますが、ここでは「ある問題を、主として否定することをテーマに、大多数の人がムードに乗って一気に大きく揺れること」としましょう。  人々が互いに過剰に適合しあって、雪だるまのように世論が形成されていく、そういう状態です。

③一人ひとりが熱狂的だとファシズムになりますが、そうでなくても、互いに影響しあうことで全体では熱狂的な結果が生まれる、それがポピュリズムの特徴です。  (中略)

④今回の衆院選は前回2005年の、小泉政権によるいわゆる「郵政民営化選挙」と対になっています。  どちらも特徴はワンフレーズ選挙です。  前回は小泉さんの「郵政民営化」以外のテーマはほとんど関心を引かず、今回は鳩山さん(あるいは小沢さん)の言う「政権交代」に終始しました。  (中略)

⑤歴史を振り返ると、ポピュリズムは、人間はどう振る舞ったら良いかが暗黙の了解として存在しているときには発生しません。  不安な時代、あるいは既成の秩序がゆるんだ時に起きやすいのです。  (中略)

⑥じっくり考えるよりも、すぐに反応する、すぐに断定する、何でも二者択一で考える。  そういう社会に進んでいるように私には見えます。  (中略)

⑦かって評論家の山本七平さんが「空気」と呼んだ、あのえたいの知れない世論の流れが非常に形成しやすくなりました。  これは日本人の伝統的な性向にも合うんですね。  世の中の流れに乗り遅れまいとする傾向です。  (中略)

⑧即反応、即断定、二者択一。  そうした性向を持った多数の人々が、時々の「空気」を読んで行動したら、その集積は巨大な変化を生むでしょう。  私は「世論形成の液状化現象」と呼んでいます。』

記事中の山本さんの写真の下に「英国の人類学者ダンバーが唱えた、人間の社会は無駄話やゴシップが作ってきたという説に注目している」と書いてありました。

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