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香山リカさん『しがみつかない生き方』

精神科医・立教大学教授の香山リカさんが書かれた 『しがみつかない生き方』(幻冬舎刊)を読みました。  『第6章・仕事に夢をもとめない』の中の『「パンのために働いている」で十分』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「夢を仕事に」といった言い方が問題なのは、「夢と違う仕事なら、働く意味がない」と思って仕事から遠ざかる人が増えることにある。  (中略)

②私が大学を出て就職したのは、ひとえに〝パンのため〟であった。  大学卒業と同時に仕送りはいっさい止める、と親に言われて、とにかくすぐに報酬がもらえるようにしなければ、と思ったのだ。

③大学院に進む、留学する、無給だが人気の研修病院に行く、といった選択も自動的になくなった。  後から考えると、最初から選ばなかったほうに「本当にやりたいこと」に近いものがあったことに気づいたが、まさに後の祭り。

④そのときは落ちこんだが、だからといって働くのをやめるわけにもいかず、ますます〝パンのため〟と割り切って仕事に精を出すようになった。  (中略)

⑤ただ、仕送りがなくても自分で生計を立てている、ということは、それだけで私に思わぬ自信を与えてくれた。  (中略)  それに、〝パンのため〟であれば仕事にも身が入らないか、というと、それも違った。  この仕事を失ったら今月から暮らせないと思うと、かえってそれなりに真剣になる。

⑥また、仕事そのものが「本当に好きなこと」とは違っていたとしても、その中である程度、長くやっていると、だんだん技術が身についていく、まわりの人からも認められたり頼りにされたりする、という別の喜びが味わえる。

⑦しかも、たとえちょっとした失敗をしても、「これはしょせん本当に好きな仕事じゃないんだから」という逃げ道があるので、激しく落ち込まずにすむこともある。  仕事と適度な距離を保つことができるので、燃えつきずに長く続けることもできる。

⑧これは強がりでも何でもなく、私はある時点から「やりたいことを仕事にしなくてよかった。  自己実現のためではなく、〝パンのため〟の仕事だからこそ、私はこうして続けていられる」と思うようになった。』

今朝の東京はすっきりした秋晴れでした。  よい週末を!

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