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伊集院静先生『松井秀喜選手とジーター選手』

昨日の日経新聞で作家の伊集院静先生が『素晴らしき友情』という文章を書かれていました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①(松井秀喜選手にとって)今シーズンはヤンキースとの契約最終年であり、まさに正念場のシーズンが始まろうとしていた。  (中略)  オープン戦では好調の兆しは見えたが、開幕戦を過ぎて少しすると、ヒザの具合がまだ良くないと担当記者から報告を受けた。  (中略)

②それでも私は彼の底力を信じていた。  (中略)  逆風の中で、松井選手は早めに球場に行き、一人で黙々とランニングし、ヒザのケアに励んでいた。  「来るべき時のために努力を惜しまない人に、神様はチャンスを与えてくれるはずだ」

③実は、彼を信じていた人間がヤンキースの中にも一人いた。  キャプテンのジーター遊撃手である。  二人は同じ歳で、彼の入団以来、一番仲が良い選手だった。  (中略)

④ジーターがチームの中で公言しはじめた。  「ヒデキはその時が来れば必ずやってくれる」。  レッドソックスとの最終カードを迎える頃、松井がホームランを打つ度、ジーターがチームの誰よりも早く立ち上がり声を上げた。

⑤チームメートもヒデキが打つと、ジーターの肩を叩き出した。  奇妙な光景であったが、それほど二人の友情が熱いことにも驚かされた。

⑥ジーターは知っていたのだ。  ホームランバッターである松井が長打へのこだわりを捨て、チームバッティングに徹していたことを。  (中略)  ワールドシリーズ第6戦の活躍は見ての通りだが、MVPに選ばれたヒデキを見ていたジーターの笑顔も印象的だった。

⑦あの素晴らしい活躍の場を引き寄せたのは、もちろん松井選手の力であろうが、くじけそうな時もあったはずの彼を応援し続けたジーターの友情が支えてくれたことも事実だ。』

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