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山田恵諦座主『祈りの利益』

11月28日の日経新聞・日曜連載『奇縁まんだら』(瀬戸内寂聴著)は山田恵諦座主の話でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①第253世天台座主(ざす・・・最高位の僧の役職名)山田恵諦(やまだ・えたい)睨下(げいか・・・高僧に対する敬称)がわざわざご来臨下さり、落慶法要を厳修して下さった。  (中略)

②ある時、私が祈りの功徳(くどく)と、仏の現世利益(りやく)についてお伺いした。  人によく訊かれて自信のある答えが出来なかったからである。  (中略)

③お座主は、いつもの温顔に目だけやや厳しく、「それは自信を持って御利益があると答えるがよい。  わずかな教養が邪魔をして、それを断言し難いものだが、真剣で純粋な祈りには、必ず仏の御利益がいただけるのだよ」とおっしゃった。

④戦争末期沖縄へ法要に赴(おもむ)かれた帰り、至るところに敵の潜水艦が出没する海域を帰らなければならなくなった。  しかもその時、14、5歳の少年少女たち1500名が内地で働くため同船することになった。  (中略)

⑤お座主は彼等を一人も死なせてはならないと、それから(出発予定日までの)25日間、睡眠時間を極度に切りつめ一心不乱に観音経をあげつづけ、彼等を一人残らず無事本土に渡らせたまえと祈られた。  (中略)  奇跡的に何の障害もなく、無事、全員は本土に到着した。  

⑥「この時、私は悟った。  純粋一途な祈りは適(かな)えられると。  いいかな、自信を持って祈りに利益はあると答えるがよろしい」  こんな力強い自信にみちたことばが発せられるお座主に、私は思わず合掌していた。』

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