2010.01.15 Fri
米長邦雄先生『人物三等』
昨日紹介した『呻吟語』の中の『人物三等』について日本将棋連盟会長の米長邦雄先生が1993年に書かれた『運を育てる』(クレスト社刊)にわかりやすく出ているので、抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①(東燃の社長・中原伸之さんから伺った『呻吟語』の中の『人物三等』について)その言葉が腹に落ちなかった。 第三等の資質、聡明才弁、これはわかった。 頭がよくて弁舌さわやかならば役に立つ。 優れた人物である。 ただし、それは三番目だと言う。 ないよりはあったほうがいいが、三つの資質のうちでは最下位だ。
②その上の資質、第二等は、なんと磊落豪雄。 人間は頭ではなくて肚(はら)だ。 秀才、エリートは効率よく仕事をこなすが、何かあるとポキリと折れる。 それよりは、少々荒っぽくとも、すべてのことを呑み込める男がいい。 手酷(ひど)いダメージを受けて、皆がショボクレているときに、カッカッカッと笑った者が親分になる。 そういうことだろう。 竹の子のように真っ直ぐすくすくと伸びていける、というのなら話は簡単だが、失敗と挫折を繰り返すのが人生だ。 そんなとき、磊落豪雄は宝である。
③ところが、第一等の資質、深沈厚重とはどんなものか、どうもピンと来ない。 そこで、どういう意味ですかと聞いてみた。 「そうだねぇ・・・。 たとえば会って話をしてみたけれど、何だこの男は、ちっともとらえどころがない。 もしかしたら馬鹿じゃないか。 そう見える人間。 まあ、大平正芳みたいな男だね」 石油会社の経営者だからか、中原さんは当時の通産大臣(後の総理大臣)の名を挙げて笑った。 そうか、大平正芳のような男か。 ウシみたいなのが第一等の資質なんだろうか。』
よい週末を!
『①(東燃の社長・中原伸之さんから伺った『呻吟語』の中の『人物三等』について)その言葉が腹に落ちなかった。 第三等の資質、聡明才弁、これはわかった。 頭がよくて弁舌さわやかならば役に立つ。 優れた人物である。 ただし、それは三番目だと言う。 ないよりはあったほうがいいが、三つの資質のうちでは最下位だ。
②その上の資質、第二等は、なんと磊落豪雄。 人間は頭ではなくて肚(はら)だ。 秀才、エリートは効率よく仕事をこなすが、何かあるとポキリと折れる。 それよりは、少々荒っぽくとも、すべてのことを呑み込める男がいい。 手酷(ひど)いダメージを受けて、皆がショボクレているときに、カッカッカッと笑った者が親分になる。 そういうことだろう。 竹の子のように真っ直ぐすくすくと伸びていける、というのなら話は簡単だが、失敗と挫折を繰り返すのが人生だ。 そんなとき、磊落豪雄は宝である。
③ところが、第一等の資質、深沈厚重とはどんなものか、どうもピンと来ない。 そこで、どういう意味ですかと聞いてみた。 「そうだねぇ・・・。 たとえば会って話をしてみたけれど、何だこの男は、ちっともとらえどころがない。 もしかしたら馬鹿じゃないか。 そう見える人間。 まあ、大平正芳みたいな男だね」 石油会社の経営者だからか、中原さんは当時の通産大臣(後の総理大臣)の名を挙げて笑った。 そうか、大平正芳のような男か。 ウシみたいなのが第一等の資質なんだろうか。』
よい週末を!