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城山三郎先生『人間を支える三本の柱』

『逆境を生きる』(城山三郎著 新潮社)を読みました。  『人間を支える三本の柱』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.ニューヨークに住んでいる日本人の精神科医、石塚幸雄さんから聞きました。  人間を支える柱は(次の)三つある。

①セルフ(self)・・・「自分だけの世界」ということです。  本を読むことも、音楽を聴くことも、絵を見たり描いたりすること、あるいは書を見たり書いたりすること、坐禅することなんかもそうですね。

②インティマシー(intimacy)・・・「親近性」という意味ですね。  親しい人たちとの関係、例えば妻、子、親しい友人、親近者たち、地域の仲間たち、人間はそういう人たちによって支えられている。

③アチーブメント(achievement)・・・つまり、「達成」ってことです。  会社の仕事でこんなことをやりたい。  碁や将棋で何段になりたい。  そういう目標や段階を作って挑んでいく。

2.民族や人種によっても差があるのだそうです。

①セルフが強いのはイギリス人・・・例えばバードウォッチング、鳥を見る。  シップウォッチング、通っていく船をぼんやり一日中見る。  誰とも関係ない、自分だけの世界です。  それをきちんと持つ。  これはイギリス人がうまい。

②インティマシーが強いのはアメリカ人・・・アメリカ人は家族関係や、愛の問題について真剣です。  これは同時に、弱みにもなるのですね。  アメリカ人のストレス要因を並べると、死別とか離婚とか不和とか、そういうインティマシーにかかわる問題が、ずらっと上位に並ぶのです。

③アチーブメントが強いのは日本人・・・仕事の達成を重視する。  趣味であろうと、目標や段階を設定して進んでいくのがうまい。

3.①一本の柱だけに頼っていると、弱いし、脆いですよね。  だから、日本人も、残り二本の柱、セルフとインティマシーを太くしていかないといけない。  

②セルフの世界を充実させていく。  趣味だっていい、本を読み、絵や芝居や映画を観るのだっていい、一人静かに酒を呑むのだっていい。  

③インティマシーの世界。  家族を大切にし、よき友人を持つ。  キングスレイ・ウォード(『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(城山三郎訳)の著者)も息子に「友情は手入れしよう」とアドバイスしていますが、古い友だちもきちんと大事にする。    

④三本の柱をバランスよく太く、充実させておけば、万が一、一本の柱が揺れ動いたりした時でも、あと二本が支えてくれる。  我が身を振り返ってもこれは、言うは易し、行うは難し、かもしれませんが・・・。』

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