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野田順弘さん『私の履歴書』

日経新聞の今月の『私の履歴書』はオービック会長兼社長の野田順弘さんが書かれています。  昨日分のタイトルは『新しい城、6坪の事務所――会計機レンタルひらめく』です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①退社したとき私は29歳になっていた。  ともかく(大阪市)南御堂の裏手に6坪の事務所を借りた。  顔ぶれは将来の創業に備えてパイロット万年筆を退社し簿記の資格を取った(妻の)みずきと私、それに電話番の娘さん。

②とりあえず始めたのが会計機用の帳簿、伝票類の納入。  どうにか夫婦2人が食べる程度の収入にはなった。  とはいえ、いつまでもこんなことを続けているわけにはいかない。  新しい事業を立ち上げたかったが、それはまだ輪郭だけの夢だった。

③半年ほどたったころだろうか。  唐突に私の頭の中にある思考や記憶の断片が、磁石に吸い寄せられる砂鉄のように一点に集まって鮮明な形になっていった。  

④断片は大手企業からいつの間にか姿を消した旧式の会計機であり、また「高い機械を買う余裕はありまへん」という中小企業の声であった。  「これや」という声とともに思わず立ち上がった。

⑤今まで自分たちが大手企業に売り込んだ会計機の多くが新型機種への買い替えやオフコンの導入で不要になり、倉庫に眠っている。  それを安く引き取ってきて整備し、中小企業に低料金で貸し出すというのはどうだろう。  

⑥大手企業にとっては処理に困っていたものがお金をもらって片付き、資金がない中小企業は安い料金で会計機が使える。  会計機も生き返るから「三方一両得」になる。

⑦まだ誰も気づいていないはずだ。  この商売なら失敗はしないだろう。  そう考えただけで、ブルブルッと体が震えた。  資本金200万円の「大阪ビジネス」が小さな産声を上げたのは昭和43(1968)年4月8日。』

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