PREV | PAGE-SELECT | NEXT

植島啓司先生『生きるチカラ』

宗教人類学者の植島啓司先生が書かれた『生きるチカラ』(集英社新書)を読みました。  『先がわかればなんにもこわくない』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①なんでも初めて出会ったものはちょっとこわい。  (中略)  なんでもこわいのは最初だけなのだ。

②人間にとってもっともこわいのは「不確かなもの」、どう対応していいのかわからないものである。  (中略)  この世には、原因さえつきとめられたら、そんなにこわいものはないのである。

③よく考えると、われわれの人生には、つねに不確かなものとか理不尽なものが立ちはだかっていて、それらを片づけないと前に進めないようになっている。  (中略)  そんな場合どうすべきなのか。

④答えは簡単だ。  それこそ前にも述べたように、いったん背負い込んだトラブルも、二度目となるとあまりたいしたことに思えなくなる。  何事も初めての事態にはどう対処していいかわからないので必要以上に深刻にとらえてしまうのだが、すべて経験が痛みを緩和させてくれるのである。

⑤つまり、答えは、なるべく多くのトラブルを経験しなさいということに尽きる。  それが人生というものなのだ。  やっかいなことがいっぱいあれば、「ああ、人生ってこんなものなんだよなあ」とため息をついて終わりだが、そのどれか一つをとことんまで追求しようとすると、たぶん神経衰弱になってしまうのではないか。

⑥自分から進んでトラブルを経験するなんてまっぴらごめんという人もいるだろうし、わざわざそんなことをする必要などないという人もいるだろう。  もちろんそれはそのとおり。  しかし、他にパーフェクトな解決法はない。  そもそも自分からトラブルに陥らなくても、そうなってしまうのが人生というものだ。

⑦まともに考えると、われわれは自分の身にふりかかった「災厄」に対して、つねにもっとも合理的な処方箋は何かと考えがちである。  しかし、それでは当然うまくいかないことになる。

⑧どんな不確かなものが襲いかかってきたとしても、それに合理的に対処するというのではなく、こちらもそれに対して不確かでいるのがもっとも好ましいやり方ではないかと思われる。 

⑨(1)自分自身を正体不明にしておくこと、(2)何が起こってもそれを吸収できるような柔軟な立ち位置を確保すること、(3)どこを攻められてもダメな部分を切り捨てて、常に同じ好ましい状態でいられるようにしておくこと、(4)できる限り失ってはならないものを持たないこと、そうした生き方をしていれば、どんなトラブルでも効果的に処理できるということになる。』

TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT