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天外伺朗先生『笑いと運力』

『経営者の運力』(天外伺朗著 講談社刊)を読みました。  『第10章 運力が宿る会議』から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ソニーには、42年間勤務した。  その間見てきたプロジェクトの数は、優に1000を超えるだろう。  (中略)  私は、次第に嗅覚が発達し、プロジェクト・ミーティングにちょっと顔を出すだけで、成功するか、失敗するかを嗅ぎ分けられるようになっていった。

②私が、成功か失敗かを嗅ぎ分けるのは、基本的には直感であり、論理的に説明は不可能だ。  しかしながら、強いて取りだせば、二つの要素を挙げることができる。

③そのひとつは、目標の的確さだ。  つまり、成功すればすごいぞ、という感覚と、かなり高い目標だが、頑張ればなんとか達成できそうだという感覚が重要だ。  しかも、その時代の流れに沿っていなければならない。

④もうひとつの要素が、チームの運力だ。  私が、プロジェクト・ミーティングに出席して肌で感じるのは、このチームは運力が強いか、弱いかということだ。

⑤一般的には、運力のかわりに士気ということばが使われる。  士気が高ければ成功するし、低ければ失敗する、と思われている。  これは基本的に間違いだ。  もちろん、士気が低く、やる気がないチームは論外だが、士気が高すぎると災いになることのほうが多い。  これは、スポーツの世界で、勝ちたい、勝ちたいという思いが強すぎると勝てなくなるという「執着の呪縛(しゅうちゃくのじゅばく)」と同じだ。

⑥プロジェクト・ミーティングに出て、「あ、このチームは失敗するな」と簡単に判別できるのは、「絶対に成功して見せます!」、「頑張ります!」、「死ぬ気でやります!」と、必死の形相で、目をつり上げ、ねじり鉢巻きの感じになっているときだ。  士気が高すぎて、発想が硬直し、状況に合わせてフレキシブルな対応をする余裕がないのがすぐわかる。  そういうチームは、破綻が早い。

⑦一般に運力の強さは余裕として外に表現される(余裕があるからといって、必ずしも運力が強いとは限らないが・・・)。  したがって、「ユーモア、ジョーク、笑い、遊び心、力の抜け具合」などは、有力な判断材料になる。

⑧わかりやすいのは、自分の組織内のプロジェクトで、状況が厳しくなって、中止するかどうかを判断しなければならないときだ。  そんな状況にもかかわらず、もしミーティングが笑いにあふれていたら、どんなに客観的情勢が厳しくても、成功の確率は高い。  笑いは余裕から生まれる。

⑨運命のボトム(底)であせりまくり、ジタバタしていたらジョークも出ず、笑いもないだろう。  笑いというのは、不運を平然と受け止め、ボトムを淡々とやり過ごすことのできる、運力の強さの象徴なのだ。』

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