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野末陳平さん『大器晩成』

『この一冊でわかる! 孔子と老子』(野末陳平著 青春出版社刊)を読みました。  「第二章 老子がわかる!」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「大器は晩成す。(第四十一章)」  これはもう完全に日本語に定着した四字熟語であるが、実は老子が原典である。  老子の書中では、同工異曲(どうこういきょく・・・詩文などの技巧は同じであるが、趣が異なること)の四字成語の中にさりげなく収まっている。  

②「大方無隅、大器晩成、大音希声、大象無形」

③大器晩成を取り上げよう。  これを四字熟語風に解釈すれば、「偉大なる人物は一朝一夕に成るものではなく、普通より時間がかかって大成する」  すなわち、人の出世成功に関わる格言風の言葉となる。

④しかし、老子は、まったくそんな寓意(ぐうい・・・何かにかこつけて、それとなくある意味をほのめかすこと)を持たせていない。  単純に文字通り、「大きな器はできあがるまでに、手間と時間がかかる」これしか表現していない。  前後の句と照合してもこれは明らかだ。  

⑤大方(たいほう)は隅(ぐう)なし、これは大なる方形には角(かど)がない。  大音が希声というのは、大きな音声は音がないから耳に聞こえにくく、大象は形無し、とは大いなる象(かたち)にはこれと見える形状がない、こんな風に解釈するしかないが、これじゃ老子流のコトバ遊びの域を出ないから、老子の真意がもっとわかりにくくなる。

⑥そこへいくと、大器晩成は人生にあてはめやすく、中国では漢代以後の解釈らしいが、これを四字熟語化したのは、この発想が多分に日本人好みであったのであろう。』

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