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ヒクソン・グレイシー『無敗の法則』

『無敗の法則』(ヒクソン・グレイシー著 ダイヤモンド社刊)を読みました。  「400戦無敗」というキャッチフレーズを持つヒクソン・グレイシー選手が高田延彦選手、船木誠勝選手に勝った試合は私もテレビで見た記憶があります。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①私が人生最大のプレッシャーを感じたのは、19歳で初めてノールールの試合に出たときのことだった。  当時私の体重は72キロだったが、相手は98キロもある30歳ぐらいの男だった。

②その男は「こっちはプロだよ。  120勝してたった4引き分けだ」と言う。  それでもぜひ闘いたいと私が言い張ったので、試合が組まれることになり、1ラウンド10分ずつで、合計3ラウンドと決まった。

③相手が近づいてきたとき、私は少し下がって力いっぱい顔面に膝蹴りを入れた。  ところが敵はあっさり体勢を立て直すと、歯を一本吐き出して、もう一度向かってきたのだ。

④さらに8分間闘い続け、第1ラウンド終了のベルが鳴ったとき、私にはもう体力が残っていなかった。  コーナーへ行き、父に行った。  「父さん、もうだめだ。  試合を続けるなんて無理だ」。

⑤すると父は「そんなことはない。  あいつのほうが参っているじゃないか。  もう一度行って、やっつけて来い」という。  「父さん、嘘じゃないんだ。  くたくたで、もうだめだ」。  兄はバケツに入った冷水を頭から私に浴びせ、リングに戻れと繰り返し叫ぶ。  それは確かに人生最悪の経験だった。

⑥しかし、私が闘っているのは対戦相手ではなく、自分の恐怖心、自分を信じられない心だということも分かっていた。  もう敵は対戦相手ではない。  私が見つめていたのは、自分自身、自分の疲労、実戦の能力のなさだった。

⑦周りの人がみんな、「行け、行け」と叫ぶ。  ベルが鳴る。  そしてリングへ戻り、試合を続けてみると、まさに父が言ったとおりなのだと分かった。  相手も私と同じぐらい疲れていた。  3分後に私が寝技に持ち込んで、勝ったのだ。

⑧その経験から、私はおそらく人生で最も重要な教訓を学んだ。  つまり、厳しいトレーニングを積み重ね、自分の技術のすべてを使い、それでも疲れてしまったのなら、相手も同じぐらい疲れているはずだし、自分と同じぐらいばてているはずだ。

⑨相手の力は自分と同じペースで失われていく。  どんなに形勢が不利に思えたとしても、試合開始のときと同じチャンスが常にある、ということを知ったのだ。

⑩あれほど悪い状況は、後にも先にも二度となかったように思う。  良いことだろうと悪いことだろうと、何が起こっても、敵も同じ体験をしているのだと分かったからだ。  もう疲れることは怖くなかった。』

私が極真会館総本部に入門したのは1971年です。  その頃、大山倍達総裁が「相手は神様じゃない。  自分が苦しいときは相手も苦しいし、自分が怖いときは相手も怖いんだ。」という話を道場稽古の後などによくされていたことを思い出しました。

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