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塩野七生先生『現実を見極める』

『ローマ人の物語』の著者である塩野七生(ななみ)先生の『生き方の演習――若者たちへ――』(朝日出版社)を読みました。  高校生から大学初年頃の若者を対象にした講演会(1998年)の内容を本にしたものです。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①これからレールを敷きはじめようとしているあなた方にとって、どのようなことが大切か、私が思っていること、それをお話したいと思います。

②まず、一番大切なのは現実はどうであるのかということです。  その現実を見極めることだと思います。

③皆さんは、テレビや新聞などを見ていればそれで現実がわかると思っているのかもしれません。  では、ほんとうにわかるのかというと、ジャーナリストたちが嘘をついているわけではないけれど、それだけではわからないんですね。

④イギリスにBBCという放送局がありますが、ここは、動物のドキュメンタリー番組で非常に定評があるところです。  そのBBCの作った動物のドキュメントには、動物同士が殺し合うところまでちゃんと映されているのです。

⑤ライオンは群れの中に大人のボスがいて、それが他のオスと交代する時があります。  交代というのは世代交代と言いましょうか、つまり強者がとって代わるわけですね。  その時に、先代のボスの子の子どもライオンが殺されることが多いのです。

⑥そういう場面も、BBCのドキュメントではきちんと映されます。  なぜなら、それが動物の世界の現実だからです。  ところが、それとまったく同じドキュメンタリー番組が日本の放送局で放映されると、そういう場面がカットされてしまうんですね。

⑦なぜそんなことをするのかと言いますと、つまり、日本人にとっての動物というのはかわいいもので、その動物同士が――しかも同種の動物の間でも殺し合うというような場面を見せてはいけないというか、避けたほうが無難だということです。  日本のマスメディアでは、とかくそういうことがなされていると思います。』

普段はテレビをあまり見ませんが、NHKの『ダーウィンが来た!』(日曜日の午後7時30分から)だけは毎週見ています。  塩野先生が言われるような場面は少ないようです。  ただ個人的には、動物が殺されるような映像は見たくない、という思いもあります。

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