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逆境のジャパン

3月16日水曜日の朝日新聞の『ザ・コラム』はニューヨーク支局長の山中季広さんが書かれていました。  タイトルは『逆境のジャパン 立ち向かう姿に賛嘆のまなざし』です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①各国取材陣が驚きの視線で報じているのが、甚大な被害を受けながら日本の人々が少しも節度を失わないことだ。  すすんで食べ物を分け合う被災者の姿に感じ入り、怒号もけんかも起きない避難場所の静けさに心動かされているのだ。

②そのひとり、ニューヨーク・タイムズ紙のニコラス・クリストフ元東京支局長は「罹災(りさい)しても日本社会は整然として秩序に乱れがない。  日本人の忍耐力と回復力は尊い」と書いた。  本人に思いを尋ねてみた。

③「阪神大震災で会った被災者が実に立派だったからです。  繁華街で店という店のガラスが割れ、商品が手の届く先に見えているのに、誰も盗もうとしない。  救援物資を待つ列が長くても奪い合いすら起きない。  感心しました」

④なるほど天災の直後には多くの国で略奪や強奪が起きている。  昨年の中米ハイチ地震では住民がスーパーからどやどや勝手に商品を持ち出した。  ハリケーン・カトリーナに襲われた米ルイジアナ州では6年前、群衆が店のドアを蹴破り、液晶テレビやDVD、バスケットボール練習台まで盗み出した。

⑤こういった開き直ったような略奪は日本ではまず起きない。  今回の地震でも実際には盗みの被害が出ているが、群衆によるものではない。  海外の感覚からすると、暴徒を見ない日本の被災地の静穏さはそれだけで賞賛に値する。


2.①もうひとつ海外メディアが注目している現象がある。  日本では被災地であからさまな便乗値上げが横行しないことだ。

②「日本以外ではまず考えられないことです」と話すのは、マイケル・サンデル米ハーバード大学教授。  日本でも有名になった哲学講義「白熱教室」で、フロリダ州の被災地で実際に起きたあくどい便乗値上げをクラス討議の題材に取り上げてきた。

③ハリケーン被災者の窮状に業者がつけこみ、ホテルの宿泊料はたちまち4倍になり、発電機の価格は8倍に跳ね上がり、倒木処理費が200万円に高騰した。  ほんの7年前のことだ。  「日本では、いくら街が廃墟になっても、人々は自制心をゆるめず、わが街のために結束している。  被災後の市民のふるまいには胸を打たれました」


3.①百年に一度とも千年に一度とも論じられる地震の破壊力を目の当たりにして、各国が、これまで世界一と信じた日本の震災対策の限界を悟った。  日本ですら津波を予知予防できない現実におびえ、安全を誇った原子力発電所からあがる白煙に身震いした。

②それでもなお海外の人々は、日本の被災者たちの沈着で節度ある態度に讃嘆を惜しまない。

③苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助け合う。  日本の市民社会に対する世界の信頼は少しも揺らいでいない。』

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