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竹内啓先生『偶然とは何か』

東日本大震災発生から丸2ヶ月が経ちました。  『偶然とは何か』(竹内啓著 岩波新書 2010年9月17日発行)という本を読んだら、半年後の2011年3月11日を想定したような文章が載っていました。  「第6章 歴史の中の偶発性」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①もしそれが発生すれば莫大な損失を発生するような、絶対起こってはならない現象に対しては、大数の法則や期待値にもとづく管理とは別の考え方が必要である。

②例えば、「百万人に及ぶ死者を出すような原子力発電所のメルト・ダウン事故の発生する確率は一年間に百万分の一程度であり、他のいろいろなリスク(自動車事故など)に比べてはるかに小さい」というような議論がなされることがあるが、それはナンセンスである。

③そのような事故がもし起こったら、いわば「おしまい」である。  こんなことが起こる確率は小さかったはずだなどどいっても、何の慰めにもならない。  (中略)  なすべきことはこのような事故が「絶対に起こらないようにする」ことであり、そのうえでこのようなことが起こる可能性は無視することである。

(中略)

④このような場合にはその確立を一億分の一、あるいは百億分の一というような小ささにしたうえで、それは起こらないこととするのでなければならない。

⑤しかし、実際に一億分の一あるいは百億分の一という確立を検証することは不可能である。  そこで重要なのは「互いに無関係な二つの因果関係によって起こる二つの事象が同時に起こったときにのみ起こる事象の確率は、最初の二つの事象がおこる確率の積(掛け算)である。」という法則(乗法法則)である。  (中略)

⑥そこである事象がおこる確率がきわめて小さくなるようにするには、いくつかの事象が同時に起こらなければその事象が起こりえないようにしたうえで、それぞれの個別事象の起こる確率を検証可能な小さい水準に抑えるようにすればよい。  それは多重安全システムの基本的な考え方である。

⑦そうして一つの安全システムが失敗する確率が千分の一の互いに独立なシステムを四重に設けておけば、全部が失敗して大災害が現実化する確率は(千分の一×千分の一×千分の一×千分の一=一兆分の一)となって、これは十分小さくて事実上ゼロといえるであろう。』

先週末、森と鎌田が松井館長と郷田師範に引率していただき、岩手県の被災地に行ってきました。  今日の朝練で話を聞きました。  いつもと変わらない道場でいつもどおり空手の稽古ができる幸せを感謝しなければいけませんね。

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