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カス・ダマト

1.かってカス・ダマト(1908年1月17日~1985年11月4日)というボクシングの名トレーナーがいました。  元世界ヘビー級チャンピオンのマイク・タイソンの育ての親として有名です。  ウィキペディアから抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①両手のグローブをあごの下に構えるピーカブー(peekaboo、『いないいないばあ』の意)と呼ばれる構えで防御を固め、頭を振って相手の懐に潜り込むというファイトスタイルで選手を育成した。  このスタイルは、小柄で肉体が頑強かつ柔軟であり、さらにパンチ力とスピードを兼ね備えた選手で無ければ使いこなすことができなかった。

②一方、それを使いこなすことが出来たボクサーがマイク・タイソンやフロイド・パターソン(元世界ヘビー級チャンピオン)、ホセ・トーレス(元世界ライトヘビー級チャンピオン)など、いずれもボクシング史に残る名チャンピオンとなった。  カス・ダマトの死後、彼の指導したボクシング・スタイルが崩れるとタイソンの戦績は下降の一途を辿った。

③カス・ダマトの根本的なボクシング哲学は「高い次元においてリング上の勝敗を決するのは、肉体のメカニズムではなく精神力である」というものである。』


2.同じくウィキぺディアからカス・ダマトの語録を紹介します。

『①「子供にパンチの打ち方や避け方を教えるのは容易いことだ。  誰にだって出来ることだ。  勝ち負けは頭で決まる。  力でも、スピードでも、体力でもない」

②「恐怖心というのは人生の一番の友人であると同時に敵でもある。  ちょうど火のようなものだ。  火は上手に扱えば、冬には身を暖めてくれるし、腹が空いた時には料理を手助けしてくれる。  暗闇では明かりともなり、エネルギーになる。  だが、一旦コントロールを失うと、火傷をするし、死んでしまうかもしれない。  もし、恐怖心をコントロールできれば芝生にやって来る鹿のように用心深くなることができる」

③「私は全てのボクサーに同様のスタイルで教える。  多くのトレーナーはこれに異論を唱えるが、私は基本原理は同じであるべきだと思う。  違いはボクサーの受け取り方によってその後に生じるものだ」

④「つまるところ、ボクシングの究極の科学というのは、相手が打ち返せない位置からパンチを打つことだ。  打たれなければ試合に勝つからだ」

⑤「ボクシングでは人間性と創意が問われる。  勝者となるのは、常により多くの意志力と決断力、野望、知力を持ったボクサーなのだ」

⑥「私の仕事は、才能の火花を探してきて火をともしてやることだ。  それが小さな炎になり始めたら燃料を補給してやる。  そしてそれを、小さな炎が猛り狂う大きな火になるまで続けてやり、さらに火に薪をくべれば、火は赤々と燃え上がるのだ」

⑦「Never Say Can’t!!(“できないなんて言うな!!” この言葉はダマトのボクシングジムの壁にも書かれている)」

⑧「勇者と臆病者は、恐怖心にどう対処するかで違ってくるのだ。  英雄だって、皆と同じように怯えている。  だが、臆病者は逃げてしまうが英雄は逃げたりしない。  最後までやり遂げようとする自制心を持っている。  つまり、最後までやり遂げるかやり遂げないかで、人は英雄にも臆病者にもなるのだ」

⑨「目的の無い人間からは何もかもが遠ざかる。  そして遂には生きる気力すらも失うのだ。」

⑩「(1985年、死の直前のインタビューでタイソンについて)彼のためでなかったら、私は多分もう生きてはいなかっただろう。  私は、こう思う。  人間は生きてゆく間に、心に掛ける人々や喜びの数を増やしていく。  それから、自然が、それを、一つ、また一つと奪い去ってしまう。  自然は、そうやって死への準備をしてくれるのだ。  私には、もはや、何の喜びも残っていなかった。  友人たちは、行ってしまった。  耳も聞こえないし、目もよく見えない。  見えるのは思い出の中だけだ・・。  だから、私は死ぬ用意をしなきゃならん、と思っていた。  そこへ、マイクがやってきたのだ。  彼がここにいて、そして、今やっていることをやっている、という事実が、私に生き続ける動機を与えてくれる・・」』


3.カス・ダマトとマイク・タイソンの出会いについて作家の伊集院静さんが『作家の遊び方』(双葉社刊)の中で書いています。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①カス・ダマトはかって一人の世界チャンピオンを育てていたがボクシング協会と衝突し、追放されていた。

②その彼に少年院のボクシングコーチがタイソンを見て欲しいと言ってきた。  彼はタイソンのトレーニングを10分程度見て、黙って頷いた。

③「どうですか?  この少年は」  コーチが訊いた。

④彼はタイソンに向かって言った。  「もしおまえが私の言うことをすべて聞いてボクシングに励むなら、おまえは世界チャンピオンになれるだろう」

⑤「・・・・・・」  タイソンは黙っていた。

⑥そうしてしばらくして言った。  「チャンピオンになったらシルベスター・スタローン(当時の人気ボクシング映画『ロッキー』の主役を演じてた)に遭いに行けるかな?」

⑦「遭いに行かなくても向こうから遭いに来るさ」

⑧それからカス・ダマトはタイソン少年を自分の家に引き取り、厳しいトレーニングをはじめた。』


いよいよ世界大会ウィーク突入です。  第10代の世界チャンピオンになるのは誰なんだろう?

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