2013.03.21 Thu
逆風に立つ
今週の月曜日、成田から大連に向かう機中で『逆風に立つ・・・松井秀樹の美しい生き方』(伊集院静著 角川書店)を読みました。 最終章の「感謝を込めて」から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①もう少しすれば春だぞ。 春になればメジャー野球がはじまる。 そうすれば松井選手のホームランが、あの少年のような笑顔が見えるぞ・・・。 と犬にむかって語りながら、この十年を過ごした。
②松井秀樹の一本のホームランが、ひとつのプレーが、あの笑顔が、仕事に疲れたり、何かくじけそうな気持ちになった時、どれだけ活力と勇気を与えてくれたことか。 (中略)
③二人(長嶋茂雄監督と松井選手)は運命の、宿命の師弟だったのだ。 深夜でも叩き起こされ、松井選手は畳が何枚もすり切れるほどスイングし、長嶋監督はそれを見守り、叱咤した。
④その長嶋氏が松井選手の引退会見を見て、ひとつの区切りを迎えたことを知り、かく語った。 「現役の時には一度も口にしませんでしたが、今なら言うことができます。 松井選手は私が知る最高のスラッガー(強打者)です」
⑤この言葉は私の胸に痛みとなって響いた。 「・・・そうか、もう二度とあの美しい放物線を描くホームランを見ることができないのか。 一年の中で一番待ち遠しく、期待に胸をふくらませた春はなくなってしまったか・・・」 さまざまな惜別を経験してきたが、これほど胸の痛むことはそうなかった。
⑥こう思っているのは決して私一人ではあるまい。 松井選手を待つ春は終わったのだ。 切なくなればなるほど、この十年、彼が私と家族に与えてくれた夢の大きさに気付く。 同じ時代に生きて、彼が私たちに与えてくれたものの大きさ、深さに感銘する。
⑦あれほどの逆風に立っていても、彼は一度も弱音をはかなかったし、敢えて逆風に立つことで自分を鍛えようとした。 そういう仕事の、人生の手本を私は松井秀樹に教わった。
⑧私は彼と出逢い、応援できたことを生涯の誇りに思う。 (中略) 少し切ない春だが、人生とはそういうものなのだろう。』
私も1993年読売ジャイアンツ入団以来の松井選手ファンです。 ニューヨーク・ヤンキースに入団してからはNHKのBS放送で松井選手を見るのが楽しみとなりました。
2003年6月(松井選手がヤンキースに入団した年で、センターを守り、初めて4番を打った日)・2005年7月・同年9月と3度ヤンキースタジアムまで見に行きました。
本書を読むとヤンキース入団以来のその時どきのシーンや感動がよみがえってきます。 思わず涙ぐんでしまい、涙とともに何度か鼻をかみました。 すると、隣席の中国の中年女性が「東京的空気不好(東京は空気が悪い)」と言って自分も鼻をかみ始めました。 同じアレルギー症状か何かと勘違いされたのかも知れません(笑)。
『①もう少しすれば春だぞ。 春になればメジャー野球がはじまる。 そうすれば松井選手のホームランが、あの少年のような笑顔が見えるぞ・・・。 と犬にむかって語りながら、この十年を過ごした。
②松井秀樹の一本のホームランが、ひとつのプレーが、あの笑顔が、仕事に疲れたり、何かくじけそうな気持ちになった時、どれだけ活力と勇気を与えてくれたことか。 (中略)
③二人(長嶋茂雄監督と松井選手)は運命の、宿命の師弟だったのだ。 深夜でも叩き起こされ、松井選手は畳が何枚もすり切れるほどスイングし、長嶋監督はそれを見守り、叱咤した。
④その長嶋氏が松井選手の引退会見を見て、ひとつの区切りを迎えたことを知り、かく語った。 「現役の時には一度も口にしませんでしたが、今なら言うことができます。 松井選手は私が知る最高のスラッガー(強打者)です」
⑤この言葉は私の胸に痛みとなって響いた。 「・・・そうか、もう二度とあの美しい放物線を描くホームランを見ることができないのか。 一年の中で一番待ち遠しく、期待に胸をふくらませた春はなくなってしまったか・・・」 さまざまな惜別を経験してきたが、これほど胸の痛むことはそうなかった。
⑥こう思っているのは決して私一人ではあるまい。 松井選手を待つ春は終わったのだ。 切なくなればなるほど、この十年、彼が私と家族に与えてくれた夢の大きさに気付く。 同じ時代に生きて、彼が私たちに与えてくれたものの大きさ、深さに感銘する。
⑦あれほどの逆風に立っていても、彼は一度も弱音をはかなかったし、敢えて逆風に立つことで自分を鍛えようとした。 そういう仕事の、人生の手本を私は松井秀樹に教わった。
⑧私は彼と出逢い、応援できたことを生涯の誇りに思う。 (中略) 少し切ない春だが、人生とはそういうものなのだろう。』
私も1993年読売ジャイアンツ入団以来の松井選手ファンです。 ニューヨーク・ヤンキースに入団してからはNHKのBS放送で松井選手を見るのが楽しみとなりました。
2003年6月(松井選手がヤンキースに入団した年で、センターを守り、初めて4番を打った日)・2005年7月・同年9月と3度ヤンキースタジアムまで見に行きました。
本書を読むとヤンキース入団以来のその時どきのシーンや感動がよみがえってきます。 思わず涙ぐんでしまい、涙とともに何度か鼻をかみました。 すると、隣席の中国の中年女性が「東京的空気不好(東京は空気が悪い)」と言って自分も鼻をかみ始めました。 同じアレルギー症状か何かと勘違いされたのかも知れません(笑)。