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逆風に立つ

今週の月曜日、成田から大連に向かう機中で『逆風に立つ・・・松井秀樹の美しい生き方』(伊集院静著 角川書店)を読みました。  最終章の「感謝を込めて」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①もう少しすれば春だぞ。  春になればメジャー野球がはじまる。  そうすれば松井選手のホームランが、あの少年のような笑顔が見えるぞ・・・。  と犬にむかって語りながら、この十年を過ごした。

②松井秀樹の一本のホームランが、ひとつのプレーが、あの笑顔が、仕事に疲れたり、何かくじけそうな気持ちになった時、どれだけ活力と勇気を与えてくれたことか。  (中略)

③二人(長嶋茂雄監督と松井選手)は運命の、宿命の師弟だったのだ。  深夜でも叩き起こされ、松井選手は畳が何枚もすり切れるほどスイングし、長嶋監督はそれを見守り、叱咤した。

④その長嶋氏が松井選手の引退会見を見て、ひとつの区切りを迎えたことを知り、かく語った。  「現役の時には一度も口にしませんでしたが、今なら言うことができます。  松井選手は私が知る最高のスラッガー(強打者)です」

⑤この言葉は私の胸に痛みとなって響いた。  「・・・そうか、もう二度とあの美しい放物線を描くホームランを見ることができないのか。  一年の中で一番待ち遠しく、期待に胸をふくらませた春はなくなってしまったか・・・」  さまざまな惜別を経験してきたが、これほど胸の痛むことはそうなかった。  

⑥こう思っているのは決して私一人ではあるまい。  松井選手を待つ春は終わったのだ。  切なくなればなるほど、この十年、彼が私と家族に与えてくれた夢の大きさに気付く。  同じ時代に生きて、彼が私たちに与えてくれたものの大きさ、深さに感銘する。

⑦あれほどの逆風に立っていても、彼は一度も弱音をはかなかったし、敢えて逆風に立つことで自分を鍛えようとした。  そういう仕事の、人生の手本を私は松井秀樹に教わった。

⑧私は彼と出逢い、応援できたことを生涯の誇りに思う。  (中略)  少し切ない春だが、人生とはそういうものなのだろう。』

私も1993年読売ジャイアンツ入団以来の松井選手ファンです。  ニューヨーク・ヤンキースに入団してからはNHKのBS放送で松井選手を見るのが楽しみとなりました。  

2003年6月(松井選手がヤンキースに入団した年で、センターを守り、初めて4番を打った日)・2005年7月・同年9月と3度ヤンキースタジアムまで見に行きました。

本書を読むとヤンキース入団以来のその時どきのシーンや感動がよみがえってきます。  思わず涙ぐんでしまい、涙とともに何度か鼻をかみました。  すると、隣席の中国の中年女性が「東京的空気不好(東京は空気が悪い)」と言って自分も鼻をかみ始めました。  同じアレルギー症状か何かと勘違いされたのかも知れません(笑)。

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