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トム・ワトソン

先月の日経新聞連載『私の履歴書』はプロゴルファーのトム・ワトソン選手でした。  四日分から抜粋し、番号を付けて紹介します。

(1)5月13日・・・1977年7月全英オープン

『①絶好調の私の前に壁のように立ちはだかったのが当時、ゴルフ界の「帝王」と呼ばれていた世界ナンバーワンのプレーヤー、ジャック・ニクラウスだった。

②最終日、最終ホールのグリーン。  それまでの戦いで、私はジャックをわずかに1打差でリードしていた。  残るは2人のバーディーパットだけである。  私のパットがわずかに2フィート半(約76センチ)の距離なのに対して、ジャックのそれは40フィート(約12メートル)近く残っている。  誰がみても、ジャックは絶体絶命のピンチに立っている。

③しかしこのとき、私は自分との対話の中で「ジャックがこれを決めたら、何をすべきか」としきりに問いかけていた。  それまでにもジャックは何度もこういった死地を脱し、不利な形勢を挽回していた。

④だから、こう考えるようにした。  「ジャックほど偉大なプレーヤーが『これを決められない』と決めつける理由などどこにもない」と。

⑤予想通り、ジャックはこの難しいパットを一発で、しかもど真ん中から決めてきた。  (中略)  私は数回、素振りをした後、短いパットを入れた。

⑥パットで勝利を決めたばかりの私に近づいてくると、ジャックは腕を私の首に回して、こうささやいた。  「トム、一番のショットを君に捧げたつもりだったけど、まだ足りなかったみたいだな。  おめでとう」』


(2)5月22日・・・スランプ

『①不振に陥った時、技術面とメンタル面を分けて論じる人がいる。  「スランプになるのは自信をなくしているからだ」という指摘だ。

②しかし、私の場合、「(メンタルを強くしても)結局、試合でうまくいかなければ、自信はなくしてしまうものだ」と考える。  つまり肝心なのはスイングそのものなのだ。

③もちろん、多くの努力を重ねたとしても、報われないことは多々ある。  そもそも人生とはそういうものだろう。  時に人は壁にぶつかりながら、成長していかなければならない。  ゴルフもまた、しかりである。』


(3)5月30日・・・変える勇気

『①試合中でも自分のスイングを変えることを恐れてはいけない。  もちろん、ゴルフのスイングにおいて「こだわり」は時に重要だ。  しかし、それがうまくいかない時には、変える勇気も持たなければならない。

②ジャック・ニクラウスは引退を表明するテレビ番組のインタビューで「私はいつもスイングを変え続けていた」と振り返っている。

③実際、ジャックはマスターズ選手権の最終日、バックナインの最中でもスイングを変えることを厭(いと)わなかった。』


(4)5月31日最終回・・・今年65歳に

『1.①ゴルフを始めて50年以上が過ぎた今、私は以前よりもゴルフスイングの何たるかが分かってきたような気がしている。

②本来、ゴルフとはフィーリング、感じるものなのだ。  基本を踏まえたら、後は本能に任せる方がいい。  コースをどう攻略するかが大事であり、自分の感じ方、タッチ、そういったものを大切にしながらプレーすることである。

2.①振り返ってみれば、これまでの人生において、私はプロゴルファーとして常に試合で勝ち抜くことだけを考えてきた。

②しかし、09年の全英オープンで私が演じた優勝争い(59歳でプレーオフまで進み、第2位)には、そんな私の思いをはるかに超えた、大勢の人たちの「夢」が託されていた。  老いてなお、人は競い合い、前に向かって進んでいけるという、希望に満ちた夢を・・・。  

③だから、あなたにも提案したい。  もう少しだけ、頑張ってみてはどうだろうか、と。  そうすれば、少なくともチャンスは巡って来るはずである。』

今日は日本ダービー、来週末は第31回ウェイト制大会です。



















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