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強みと弱み

3月16日にも紹介した『三国志の人間学』(城野宏著 致知出版社刊)から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①前漢の高祖(劉邦、紀元前256~195年)の幕僚長であった張良は本当の参謀総長といわれる人物です。  韓信という奴は軍司令官であって、外で戦争をする奴なのですが、張良はこういう人物をうまく使って手当てをしていき北のほうをずっと平らげさせて項羽の同盟者を全部たたきつけてやっつけてしまった。  そして項羽を完全に孤立させるのです。  (中略)

②韓信が項羽をやっつける垓下の戦も非常に見事だと思います。  なぜ見事かというと、敵の弱点と優点をよく計算しているからです。

③たとえば、項羽の優点は何かというと、非常に強い大将ですから戦争をするときにいつも真っ先に自分がかけていく。  高祖の軍隊にも韓信の軍隊にも項羽とまともにやり合える奴がいません。

④当時の戦争というのは大将同士がワーッと出て行ってチャンバラをやって、大将が討たれると他の兵隊も気落ちして逃げてしまう。  だから項羽が出てきて、それとまともにやり合いになったら負けてしまう。  これは優点です。

⑤では敵の弱点はどこかというと、兵力が少ないという点です。  (①で書いたように)すでに項羽には同盟者がいない。  だから韓信の百万名ぐらいの大軍に比べると、項羽の方は十万ちょっと。

⑥これだったら普通の大将だったら、ワーッと行けばやっつけられると思うでしょう。  ところが韓信はそうは思わない。  敵の優点をよく考え、弱点についても考える。  弱点は兵力が少ないということだからというので、韓信は十面埋伏という作戦をやった。  百万の大軍を十カ所から十五カ所くらい、方々に伏せさせたのです。

⑦それで項羽が進軍してくると一つの隊が出て行き漢のほうが負ける。  勝った項羽は負けた兵隊を追いかけると次の隊が来て項羽に応戦。  しかしこれも項羽のほうが勝ち、項羽は喜んで追いかける。・・・この繰り返しです。

⑧ところがこっちは百万の大軍ですから、十万ずつの隊に分けたとしても方々にいるわけです。  (中略)  項羽の兵隊らはもうヘトヘトに疲労して、放心状態で寝ているのです。

⑨そこへ張良が笙(しょう)を吹き、いわゆる楚の歌を歌いうわけです。  楚というのは項羽の故郷ですが、その故郷の歌を流した。  秋の夜に淋しくなって、故郷を離れてもう何年も戦闘を繰り返している。  さらにその日は一日中かけまわってヘトヘトになっている。

⑩そこへ故郷の歌を聞かされたわけですから、今の生活がすっかり嫌になってしまう。  帰心矢の如くで、その晩のうちに大部分の者が逃げ出してしまうわけです。  これがいわゆる四面楚歌(しめんそか)です。』

四面楚歌についてウィキペディアには次のように書かれています。

『夜、項羽は四方の漢の陣から故郷の楚の歌が聞こえてくるのを聞いて、「漢軍は既に楚を占領したのか、外の敵に楚の人間のなんと多いことか」と驚き嘆いた。  この故事から"周囲を敵に囲まれること"を四面楚歌と言うようになった。』

金曜日の選手稽古で上記の例をとり、「戦術次第で相手の強みが弱みになり、自分の弱みが強みになる」という話をしました。

久しぶりに日曜日の予定が入っていません。  今日は読みたい本を片手に一日中ゴロゴロです。  たまりません(笑)

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