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口に苦い良薬よりも

『幸運の条件』(五木寛之著 新潮新書)を読みました。  『口に苦い良薬よりも』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①どんなに強い信念をもって生きたとしても、人の心というものは弱いものです。  (中略)  そんな人間のたよりなさを、言葉でもってなぐさめることを、仏教では「言辞施(ごんじせ)」といい、布施行(ふせぎょう)の一つとしたらしい。

②もちろん、それは口から出まかせの適当なお世辞を言うこととはちがいます。  しかし、それでも素直な忠告よりも、巧言令色(こうげんれいしょく・・・口先や顔つきだけを取り繕い、人に媚びへつらうこと)のほうがありがたいときがある。

③「良薬は口に苦し」などといいますが、しかし、苦ければ良薬、というわけでもないでしょう。

④かって私の仕事を担当してくれた編集者の一人に、すこぶる気配りのいきとどいた有能な人物がいました。  しかし、私は彼が苦手でした。

⑤いつも顔をあわせるたびに、心配そうに眉をひそめて、こうきくのです。  「ちょっとお疲れのようですが、大丈夫ですか。  また徹夜のお仕事でもなさったんでしょう」

⑥「うん。  まあ、いろいろとね」などと適当にこたえながら、徹夜なんかしていないぞ、今日はふだんより元気なんだぞ、と内心むっとする。  ひょっとしたら、よほど疲れた顔をしているんじゃないかと、気分も沈んでくるのです。

⑦「ほんとうに大丈夫ですか」と、たたみかけてきかれると、こっちが疲れた顔をしていなければ悪いような感じになってくる。  

⑧嘘でもいいから、「きょうはなんだか元気そうですね。  いいことでもありましたか」と、言われたほうがいい。』

東京は猛暑日の連続でした。  昨日・今日は若干過ごしやすいようですが、熱中症にはくれぐれもご用心を!

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