PREV | PAGE-SELECT | NEXT

10年間・1万時間

先週の極真祭への行きの車中で『上達の原則』(北村勝朗著 CCCメディアハウス)を読みました。  北村先生は東北大学大学院教育情報学研究部教授です。  『長期間の継続した練習が違いを生む』の項より抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①私たちが何かを学び習得する時、何が求められるのか。  当たり前に思うかもしれないが、それは「長期間継続した練習」だ。  この分野の研究としては、アメリカの心理学者K・アンダース・エリクソンらの研究が有名だ。

②ドイツの名門、「ベルリン芸術アカデミー」のバイオリニストを対象とし、①国際的な独奏者になることが期待される卓越した学生グループ、②優秀ではあるがトップレベルではない学生グループ、③能力の低い学生グループ、以上の3グループに分けてインタビュー調査を実施した。

③この結果、どのグループの学生たちの演奏歴も非常に似たもので、大きな違いはないことが明らかになった。  正式なレッスンを受け始めた時期は8歳ぐらいで、音楽家を志望するようになったのは15歳前後、指導を受けた音楽教師数は平均4人、バイオリン以外に学んだ楽器数は1.8だった。

④3つのグループを比較した結果、大きな相違点はたった一つだった。  それが累積練習時間である。  ①のトップグループの平均練習時間は1万時間、②のグループは8000時間、③のグループは4000時間だった。  トップグループの全員がほかのグループよりも多い練習時間を蓄積していた。  最終的に、エリクソンは「生来の素質は無視できるほど小さく、練習という努力の結果によって才能は開花する」と結論づけた。

⑤エリクソンは以下のように強調する。  「普通の人は楽にできることを練習しようとする。  しかし、エキスパートはうまくできなかったり、まったくできなかったことに挑戦し、非常に多くの時間を割いて集中した練習を継続する。  さまざまな領域のエキスパートを対象とした研究によれば、自分ができないことに挑戦して反復練習を繰り返さない限り、エキスパートの域に到達することは不可能である」


2.①私がインタビューしたさまざまな領域のエキスパートも、例外なく、私たちの想像以上に多くの時間を練習に費やしていた。  (中略)  日本代表として世界の大会で活躍した経験をもつスポーツ選手を対象に調査を実施した。  (中略)  どの選手も国内大会で上位入賞するまでに、約10年を要しており、累積練習時間は1万時間を超えている。

②実はこの「10年間・1万時間」という数字は、ジャンルを超えて共通している。  私は先ほどと同様の調査を仙台市に在住する優れた演奏家、ヘアデザイナー、写真家などに実施したが、結果は同様で、職業によって若干違いがあったものの、エキスパートになるまでにおおよそ10年以上を要しており、累積練習時間は1万5000時間から7万時間以上だった。

③結論として言えるのは、「卓越したレベルの技能と経験を獲得するためには累積1万時間以上、10年以上継続した練習が必要」ということだ。

④1万時間以上という膨大な数字に驚かれるかもしれない。  1日3時間の練習ならば10年かかる計算になる。  もちろん、私たちが何かを身につけようとする時、エキスパートのような「10年間・1万時間」の練習時間は必ずしも必要ではないだろう。

⑤ここで私が強調したいのは、練習時間を積み重ねることで、エキスパートの人たちと同様、才能に関係なく、目標とする技術や資格が身につくのだという点である。』

極真祭の初日が終わった後、当日出場した選手に「試合は勝ったり、負けたりして強くなる。  優勝するまであきらめずに続けることだ。」という話をしました。  「10年間・1万時間」を前提とすれば、その途中の一つ一つの試合の勝ち負けで必要以上に一喜一憂すべきではありませんね。

大分過ごしやすくなってきました。  よい週末を!  

TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT