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撤退戦の研究

半藤一利さんと江坂彰さんの対話集・『撤退戦の研究』(青春出版社)を読みました。  江坂さんの発言部分から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.歴史に学ぶ

①日本が高度成長期に向かう過程では、リーダーも勉強していた。  しかし、高度成長を続けているあいだに、成長に安堵して、いつしか群れる日本ムラの習性が顔を出して、「私は帰って勉強する」という人間は出世できないようになっていった。

②当時の役員には、イベント重役、セレモニー重役が多く、ウィークデーはイベントでスケジュールはいっぱい、そして土日はゴルフがお定まり。  いったいいつ勉強しているのかと思っていたが、やはりそういう役員が経営者になった企業は凋落していった。

③優秀な経営者は、歴史をよく勉強してますよ。  未来を知る最良の方法は、歴史を知ることですから。  (中略)

④当たり前のことだが、未来というものは誰にも分らない。  だから、歴史に学ぶのがいちばんよい。

⑤歴史のなかでも、戦争は国民と国民の総力戦であり、勝ち負けです。  だから、企業競争でもいちばん参考になるし、戦史を学ぶ意味がそこにある。

⑥たんなるノスタルジーから太平洋戦史を学ぶのではなく、なぜ日本が負けるやり方で戦争したかを学ぶ。  そこから教訓をつかんで、いまとこれからに生かしていく姿勢を経営者にもミドルにも強く求めたい。


2.衆議独裁

①戦後日本が焼け跡から立ち直ったとき、トップは衆議独裁をやりました。  しかし、右肩上がりの時代になり、トップは何もやらないほうがいい、ボンクラぶっているほうがいいという風潮に染まっていってしまった。  それだけならまだしもだが、本当にボンクラになってしまった。

②日本の三代目の陸海軍のリーダーは、おもしろいことに、佐官から上になると、まったくと言っていいほど勉強しません(※一代目が明治陸海軍のリーダー、二代目が大正のリーダー、三代目が昭和に入ってからのリーダー)。

③(戦後)三代目の(高度成長時代の)日本企業もそうです。  私の知人で、重役になった途端、バンザイ、これでもう勉強しなくていいと叫んだのどかな人がいました。

④だから、集団合議でないとものごとが進まなくなった。  集団合議と言うと聞こえはいいが、何のことはありません。  実態は当事者不在です。  決定した責任者がいないということです。

⑤もう集団合議制経営、アマチュアにちょっと毛の生えた程度の経営では、激流の時代は乗り切れません。  リーダーシップを持った経営者が絶対に必要です。  

⑥だから、衆議独裁。  トップは、スタッフにいろいろな案を出させ、そのなかからみずからの決断でチョイスする。  「この案でいきましょう」という権限をスタッフには与えず、選択の権限はトップが握っている必要があります。

⑦スタッフにチョイスする権限を与えると、現場感覚のないスタッフ王国ができて頭でっかちな組織になってしまいます。  (中略)  

⑧企業でいえば、大戦略を決断するのはトップしかいません。  どう儲けるか、どこで撤退戦をするか、誰も教えてはくれない。  しかし、一歩決断を誤れば、倒産とか大リストラをやらなければならない羽目に陥る可能性もある。

⑨こうした大戦略を他の人に任せる人間は真のリーダーではありません。  だから、衆議独裁をやる。  衆議で他人の意見をしっかり聞き、リーダーの裁量として独裁決断を下す必要があるわけです。』

だいぶ涼しくなってきました。  明日は父親の墓参りです。  今日から選手たちは強化合宿に行っています。  

よいシルバーウィークを!

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