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現象を見るか、意図を読むか

2016年の第33回全日本ウェイト制大会から一般成年男子のルールが若干変更になります。  正式には4月の国際親善大会で発表されることになっています。  

昨年の全空連との友好団体化を受けて、9月のアジア大会と12月の全日本大会を観戦させていただきました。  有効ポイント・反則ポイントともに観客に分かりやすい審判技術が見られました。  反則については、極真の大会で過去に議論されたことがある「故意かどうか」は考慮されません。  「実際に反則を犯しているか否か」だけでジャッジされます。  もちろん、「今回は口頭注意で次回から反則を取るぞ」もありません。  反則を犯せば、即「注意」です。

武道競技の判定基準について全日本柔道連盟強化委員長の山下泰裕先生が朝日新聞にコラムを書かれていたので2月10日の朝日新聞デジタル版から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①リオデジャネイロ五輪を前にした柔道の大きな国際大会である「グランドスラム・パリ」は、男子100キロ超級で原沢久喜(ひさよし)が優勝し、幕を閉じた。  日本勢は男子が60、66、90、100超の4階級を制覇。  一方、女子の優勝は78キロ超級の田知本愛(めぐみ)だけにとどまった。  五輪本番に向け、どんなサポートが必要か、強化委員長として女子スタッフの意見に耳を傾けていきたい。

②今大会は審判の判定基準がより明確になった印象を受けた。  1月末に日本の講道館で、各国・地域の監督やコーチ、五輪に立つ審判が参加したセミナーを開き、一本と技ありの違い、指導や反則の基準などについて共通認識を深めた。  意義深い試みで、それが生きたと思う。

③審判の判定では「現象を見るか、意図を読むか」で違いが出る場合がある。  例えば、グランドスラム・パリでの女子70キロ級準決勝。  フランスの選手が田知本遥(はるか)に、骨折などの恐れがある体を捨てながらのわき固めの形に入り、反則負けとなった。

④私は、フランスの選手は偶然、わき固めの姿勢になったように見た。  試合の流れや選手の意図を理解しようとする傾向が強い審判なら、故意ではないとして、彼女の一本勝ちとした可能性もある。  だが、現象を見れば反則負けと取られても仕方はない。  私はこの判定を支持したい。

⑤審判が試合の流れや選手の意図を瞬時に理解するのは難しい。  地域によって競技レベルの差もある。  そのなかで、現象を正確に切り取り、明解な共通の基準を適用することはとても大切なことだ。  世界の柔道界はこの流れで動いている。

⑥昨夏に国際柔道連盟の理事となり、海外の審判たちと身近に接して分かったが、彼らは非常によく勉強している。  「海外の審判は下手」というステレオタイプの批判はお門違いだ。  彼らの意識の根底には間違いなく、2000年シドニー五輪決勝の篠原信一―ドイエ戦の「誤審」を、二度と繰り返してはならないという強い思いがある。』

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